内容説明
昭和十八年五月三十日、一兵一弾の補給なき孤立無援の戦いの果てに、史上初の“バンザイ突撃”で潰えたアッツ島守備隊―無敵不敗の陸軍が、なぜ玉砕という名の全滅を遂げねばならなかったのか。大本営作戦の脆弱性と温厚篤実な指揮官山崎大佐に率いられた軍神部隊の戦いの全貌を描いた感動のノンフィクション。
目次
第1章 五十四歳の生涯
第2章 アリューシャン作戦
第3章 アッツ島へ米軍上陸
第4章 凍土の死闘
第5章 鉄対肉の闘い
第6章 幽鬼の全滅行
第7章 「キスカ撤収」作戦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
22
89極寒の地アッツ島で日米両軍が悪天候と寒さに耐えながらの凄絶な攻防戦、キスカ島の撤退の話は読んでいるのでアッツ島の玉砕は知ってましてがしっかり読んだのは初めてでした。これほど過酷とは知らなかった、米軍も寒い山岳地で訓練した特殊部隊を送りこんだが戦闘と寒さでかなり損耗していた。増援も補給も無く見棄てられ全滅を命じられた指揮官と兵士達はどんな想いで突撃して潰えたのか?そうまでして守る価値があったのか?考えると虚しくなる。これを読んだらキスカ島撤退作戦が以下に奇跡だったのかがわかりました。2022/10/15
手押し戦車
10
援軍を送ると約束をされ唯一の希望を持ち戦っていたが最後には大本営から島の放棄を決定された。見捨てられたという無念はなく、戦をする身、生死はもとより問題ではない。守地よりの撤退、将兵の望むところではない。敵に明け渡す様だと罪は万死に値する。一丸となって死地につき、霊魂は永く祖国を守るという電報を送り持久戦を捨てあえて後の敵への戦略となる様に情報に重点をおいて奮闘した。現場の最重要な情報であるのに階層の多い組織だとノイズが混じり都合の悪いのを隠し真実を曲げて先の戦いに活かせなかった。覚悟と精神の強さ!2014/06/05
teitowoaruku
5
増援の空手形を受けながら孤立無援で降伏も許されず全滅したアッツ島守備隊の記録。読みとれるのは、日本人の同朋への酷薄さか。戦後アメリカ軍の日本弱体化政策でチャラチャラした国になった的なことがプロローグで書かれているが、こんな酷薄な国家よりはマシだろう。2021/11/18
森下司
4
日本軍死体の山、となっている写真があり、この中に大叔父がいるかと思うと泣けてくる。私の大叔父は23歳でアッツ島で玉砕した。祖父は足が悪くて戦争に行けなかった。大叔父がアッツで玉砕したことを今まで知らぬまま、それでアッツ島に関する本を色々漁ったがその少なさに呆然。硫黄島、フィリピンなどの南太平洋の島々に関する本はたくさんあるのに。生還した人数が少なすぎるからかな。また、島の総指揮官だった山崎保代大佐が陸軍指揮官にありがちな偉そうなタイプではなく部下に慕われていたとの記述があって、ちょっと安心した。2011/05/23
VC
2
こういう記録を読むたびに思うが、何故著者は自分の感情を数ページに渡ってて書くのだろう。こういう本の読者は事実がほしいだけで著者の感情は興味ないと思うのだが。しかも内容が「人の命は地球より重い」とか、「軍靴の響きが最近聞こえてきたとか」思いっきり個人の考えになっている。でも、アッツ島の戦いを詳しく知れたので良書かな。2010/12/10