内容説明
東西五千キロ、南北六千キロにわたった広大な地域を掌中にした緒戦期をへて、攻勢終末点の遙か先に展開し、悲劇的な末路を辿ったガダルカナル、ニューギニア作戦。南方から東京へ、鉄路による資源の道を確保する遠大な計画を成しえた大陸打通作戦、泰緬鉄道の完成―明暗を分ける二大作戦の全貌を綴る第二篇。
目次
第1章 ああガダルカナル島
第2章 日米決戦の第一号
第3章 敗れて退くまで
第4章 苦闘ニューギニア戦
第5章 遠海出征軍の宿命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
29
ガダルカナル、ニューギニアの激戦、ビルマ防衛、大陸打通作戦、泰麺鉄道建設が記述されている。ニューギニア戦線の悲惨さは、数冊の戦記から概略全貌を知っていて読んでも、やはりしんどかった。戦史には幾多の包囲殲滅戦があるが、ニューギニア戦には特異な面があろう。制海空権を奪われ補給が途絶し包囲環に閉じ込められ、敵味方の双方から見放され、餓死を待つ異常な状況に陥ったからだ。進むも死、退くも死、その場にとどまり現地自活も不可能(兵団の規模が大きかったから)。日本軍に降伏の二字はなし。そうなれば、飢餓に陥る前に敵に2020/12/21
wei xian tiang
4
戦後70年、父や祖父から戦地の話を直接聞く時代が早晩終わり、100パーセント物語化された又聞きの時代に入るのに焦りを感じる今日この頃。空と海はとうに物語が確立しており、時代を越えてマニアに事欠かない。戦友会も次々解散の報が届き、陸戦はメディア的に南京とバタアンとガ島とインパールと硫黄島だけ手垢に手垢を重ね塗りしつつ、他は一顧だにされないのか、民族的体験という不朽の財産の余りにも惜しまれる放擲と思う。本書はビアク戦他、既に忘却の際にある戦闘の意義を再認識させてくれる好著。2015/09/04
かに
2
戦線を拡大しすぎ、大本営の計画の甘さにより前線の兵の奮闘むなしく苦戦を強いられる。 カダルカナル、ニューギニア、ビルマ、中国戦線について。 日本兵の強さ、愛国心、道義心は本当にすごい。尊敬。2023/11/02
水無月すん
1
安達軍のニューギニア・ウエワクで訓示された心得「本職の庶幾する目標は、健兵は三敵と戦い、病兵は一敵と戦い、重患者はその場で戦い、動き得ざるものは刺し違え、各員絶対に虜囚たるなかれ」に強い気概を感じた。2012/09/20