内容説明
前人未踏の大自然の中で、東部ニューギニア十五万余の将兵は、連合軍との死闘を演じつつ、暑熱と闘い、悪疫と闘い、そして、飢餓と闘わねばならなかった。太平洋戦争中、最も悲惨な退却と戦史に記された戦場を凝視しながら、兵隊たちの生存を賭けた闘いの中で、戦争と人間の相克を描く感動のノンフィクション。第1回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
目次
第1部 序幕
第2部 転進
第3部 人と人
第4部 戦野
第5部 自然と人間
第6部 終戦
著者等紹介
尾川正二[オガワマサツグ]
1917年、旧朝鮮に生まれる。京城帝国大学国文科卒業。広島大学大学院国文研究科修了。関西学院大、桃山学院大、梅花短大教授を歴任。『「死の島」ニューギニア―極限のなかの人間』で、第1回大宅壮一ノンフィクション賞受賞
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感想・レビュー
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遥かなる想い
215
第1回(1970年)大宅壮一ノンフィクション賞。 東部ニューギニア戦線3年間のノートである。 一歩兵としての視点の描写が他書とは異なる。 死と隣り合わせの世界で 同僚が次々と亡くなって行く中で、 どう生き延びてきたのか.. 悲惨な現地の状況とは裏腹に 現地人との 交流等も丹念に描く ..「生きているか 生きていないか」だけが 全ての時間だった日々を過ごした 貴重な 人間ノートだった。2017/06/12
スー
12
最初は輸送船から見た夜空は始めての南国を楽しみ詩的に表現していた筆者でしたが、輸送船の座礁や潜水艦の脅威で徐々に緊迫感のある書き方に変わっていく。それでもニューギニアに上陸した後はまだのんびりとした雰囲気でした。しかし、本格的に戦闘に突入すると一変し、敗退して撤退行を繰り返す様になる。すると階級に関係なく飢えと疲労で人の醜い本性さらけ出す様になる。当初体臭がきついと嘆いた現地人達が無償で助けてくれるのを見ると筆者は文明のない彼等の方が人間として高尚なのではないか?と考えるようになる。2017/05/17
よしや
4
最近読んだ中で一番の本。戦記、体験記、哲学書、倫理書、日記、さまざまに受け取れる一冊。「極限のなかの人間」という副題がついている通り、ニューギニアという過酷な地での記録はあまりに生々しく、そして人間という生き物について考えさせられる。これは読むべき一冊。2014/02/28
くらーく
3
愚かな指導部、悲惨な現場。本当にお気の毒だけど、こうやって記録を残してくれて本当にありがたいです。一部だけでも、学校の教科書や副読本に入れて欲しいですな。2015/02/28
VC
3
人間はつまるところ胃袋である。この体の臓物を憎まずにはいられない。2012/06/16
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