内容説明
第一次大戦の青島で捕われの身となったドイツ兵捕虜九百三十九名を私淑させ、畏敬させた板東俘虜収容所長松江豊寿。そのヒューマニズムを軸に、日本で最初に「第九交響曲」を演奏したドイツ捕虜と日本の若者たちの管弦楽団の逸話などドイツ兵と四国徳島板東の人々との民族を越えた人間愛をえがいた感動の物語。
目次
ああ青島
戦乱成金
捕虜の家
会津降伏人
カイゼルの犬
日語通
特殊捕虜
愁色
クリスマス前後
ドイツ天長節
俘虜展覧会
前線・銃後
絵と詩
オーロラの下を〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ikedama99
5
少しずつ読み進めた。以前、徳島に出張で行ったときに、第1次世界大戦のときに収容所があったということを知り、関連するものが読みたいと思っていたところで東京の古本屋で出会った。収容所の所長である松江の人道的な話(ここは俘虜収容所・・と思えるくらい)もさることながら、そのころの戦況や歴史とも照らし合わせての記述は丁寧に思った。読んでてもどかしい感じもしたが必要だとも思った。俘虜同士の仲たがいやもめごとなどもあったし、終戦後の姿も興味深い。文庫本で2段組で350ページの分量は読み応えあり。読んでよかった本。 2025/04/17
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