内容説明
兵は何のために、だれのために死んでいったのか。一兵士として、“青春”を戦争のまっただなかに埋め、落日の戦場を彷徨しなければならなかった著者が、苛烈なる原体験をいしずえに生みだされた感動の戦場ドキュメント―比島戦線の実相を赤裸々に描いて直木賞を受賞した著者が最悪の戦場を再び捉えた話題作。
目次
第1部 ルソンの挽歌(比島軍司令部の山下奉文;空しき転進;モーゼル銃;蜂の巣;繁みの中;塹壕の女;気をつけ、女子軍属;ルソンの挽歌)
第2部 落陽の悲歌(真珠湾の九軍神;将軍と特攻隊;特攻隊「回天」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
29
人間と動物の違いはなにか? 道徳をもち意識的にそれを実行しうる智恵をもつことだろう。動物は堕落しない。彼らの道徳は本能によって規定されいるからだ。しかし人間は違う。だから人間が堕落することは恐ろしい。意識的に道徳を顧みなくなるということは、自らを動物以下に貶めることだからだ。人間を畜生以下にならしめるのが戦争であり戦場であり、また軍隊なのだろう。暴行、強盗、強姦……最悪の戦場は畜生たちの修羅界である。この『ルソンの挽歌』は、戦場において獣以下となった悲しい生きものの姿を抉りだしている。しかも筆致は極めて2020/12/13
モリータ
8
第一部は戦争短編集、第二部は特攻関連の随筆。ざっと読み。2019/03/13




