内容説明
ビルマ戦線の敗走の真っ只中で、士官学校出たての工兵小尉が機知と機略を縦横にめぐらして、旅は道づれ世は情け、弱きを助け強きを挫き、下士官・兵と共に生きる飢餓街道五十三次。戦陣訓も投げ捨てた風流士官が押し寄せる敵と自然の脅威も乗り越えた、帰還までの茨の道のりを綴った異色のイラスト・エッセイ。
目次
1 加賀編隊
2 偕行社
3 出征準備
4 王侯貴族
5 天秤棒の風景
6 チンチン電車
7 タイメン鉄道
8 ビルマの民家
9 ビルマ派遣軍司令部
10 蜂の巣陣地〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴジラ 芹沢
2
栄養がないため 髪は赤ん坊のように貧弱、食った分だけしか動けない体で移動。下手に寝込めば味方の容赦ない略奪に会うのは恐ろしい。マラリアに感染すれば片足の奴より、行軍距離を稼げん。下手に荷物を持てば倒れるから、水源までギリギリ持つ量まで調整。2017/01/31
ゴジラ 芹沢
2
工兵部隊だから基本歩くだけ。あと病院と、物々交換、ビルマの風習。2016/08/25
pogeko
1
食事や着替え等現地の風俗、便所やたばこの巻き方等のモノの仕組み、兵隊たちの描写、地図等々イラストがよい。これ目的で読んで損なし 2011/10/26
七六式
0
本書を読んだ人は、通常の「戦争体験記」とされる類書と比べてやや異色な印象を抱くかもしれません。書名にある「地獄の戦場」から想像される惨憺たる生死の記述以上に、現地の人々や習慣、動植物や地理等々を見聞した旅行記か何かのようにも見えるからです。著者の性格か文才か、他のビルマ戦記と比べても直面している深刻な事態とは裏腹に陰鬱さを感じさせない、本書に通底するユーモアは奇妙で複雑な読後感を得るでしょう。著者は他にも数冊の興味深い本を著していますが、文庫化されていないのが残念です。