内容説明
耳に還って来ます、ラッパの音色が…。シンペイサンは、ツライヨネー。万年ヒラ兵隊の哀歓を、コミカルなイラストとともに語りつぐ奇想天外、もうひとつの陸軍よもやま物語。古参兵に追いまくられ、怒鳴られて右往左往、涙の中には母の顔…。オオカミどもにコキ使われる悲しきヒツジたちが奏でるラプソディ。
目次
メンコの数
体重ミスで合格
初年兵の一日
厠と兵隊
二年兵を見習え
実行報告:入隊第一日目
非常呼集
班長を殴った兵隊
ドモる兵隊〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えふのらん
1
陸軍航空隊所属の整備兵の回想録。航空隊といえど陸軍所属である以上は鉄拳制裁の教育を受けるわけで、この方も地獄の初年兵教育を通り抜けている。 闇夜に隠れての裁縫、便所の髭剃りなど超人的な小噺、上官そっちのけで反戦を歌う演芸会等、今現在からは想像もできない。 個人的には軍歌『戦友』が禁止された時の「『戦友』は歌ってはならん。しかし、長いあいだ歌ったものである。決別する意味で、もういちど歌おう。だが、これが最後だぞ」という演説が印象的だった。2013/08/29
アヴィ
0
昭和50年代に本書のような◯◯よもやま物語といった軍隊生活の思い出を語る本がちょっとしたブームだったのか書店でもよく見かけた。志願して入る職業軍人とは違い徴兵で召集された新兵さんたちのよもやま話。勇ましい戦記文学でもないし、かといって戦争の悲惨さや軍隊の無理編に拳骨的な話がメインというわけでもない。そういう話も出てくるが全体にほのぼのとしてリラックスした感じで読めます。終戦時のドタバタや、やっと静かに眠れるという感慨がその時代を伝えていて読後感もとても良い。2025/06/16