内容説明
1945年8月9日、40万人の日本人が暮らす南樺太に突如、ソ連軍が攻撃を開始した。終戦の日を迎えても南進を止めないソ連軍、空爆下に必死の逃避行を続ける住民、停戦命令と避難民の板挟みとなる日本軍…北方の「内地」で戦われた熾烈な地上戦の全貌を初めて明らかにする!
目次
第1章 日本領南樺太
第2章 ソ連参戦による国境地域での戦闘―歩兵第百二十五聯隊・警察官の奮戦
第3章 停戦交渉と豊原空襲
第4章 西海岸での戦闘
第5章 真岡方面の戦闘
第6章 住民の樺太脱出
著者等紹介
藤村建雄[フジムラタケオ]
昭和43年、東京出身。平成21年、日本大学大学院総合社会情報研究科国際情報専攻卒業。樺太における対ソ戦を専門とする。現在、某大学学生支援部門にて勤務しつつ、平成29年4月、北方近代史研究所設立。所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マリリン
11
日露戦争時の、樺太での戦いの様子を書いた書物が殆どないのは何故なのか、という話から本書を手にした。第二次世界大戦の時の事を書いている事は知っていたが、当時のソ連がこうした行動に出た背景は過去に何かあったのでは思い読み進めた。やはりシベリア出兵が絡んでいたのか。内容は言葉にならない程残虐で読んでいて辛くなった。同時に日本の戦争に対する考えの甘さやずさんさ等考えさせられる事が多かった。同じ過ちを、という言葉は幾度どなく耳にしてきたが、どんな過ちがあったのか知るには、日露戦争時の樺太での戦いを知りたいという➡2017/10/29
あまたあるほし
4
大傑作。我が国土だった南樺太がいかにソ連に蹂躙されたかを徹底的に描いた。真岡、豊岡の筆舌に尽くしがたい悲劇。日本軍の奮闘。現地の人々の生きるための行動など、地域ごとに平易な記述で記している。この手の戦記ものは独りよがりの文章になりがちだが、抑制の効いた文章で読みやすい。分量がとてつもなく多いのだが、この夏に読むべき一書だと思う。2017/07/23