内容説明
東京オリンピック開催と新幹線開通に沸いた昭和39年、戦後初、史上二頭目の三冠馬が誕生した。その最強の名馬シンザンの才を最初に見出し、人馬一体の走りと称えられた栗田騎手の活躍と、京都の名門・武田文吾厩舎での下積み生活、師の愛娘との結婚秘話、飲酒の逸話、レース展開を見極める練習など、栄光の裏側に隠された物語をも紡ぎ出すノンフィクション。
目次
初勝利
「走る」という直感
シンザンの故郷
栗田少年の憧れ
巡ってきたチャンス
リーディングジョッキーへ
酷暑の夏
三冠達成
家族の風景
大酒の報い
片道切符の旅
取材ノート
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たこやき
11
史上2頭目の三冠馬・シンザン。その主戦などを勤めた栗田勝騎手の人生を描いた書。著者が取材した相手が、栗田の妻や息子だったということもあり、栗田の人間性に重きが置かれている。普段は寡黙で一人、晩酌をするのが楽しみ。意外と頑固で、家族思い出はあるが結構、自分勝手。そして、旅先なども含めての酒による失態は数知れず……。幼い息子と九州旅行に行ったは良いが、酔いつぶれて金を使い果たし、幼い息子が母に助けを求めたとか、こういう人だったというのが良くわかる。名前は知っているが、よくわからなかった栗田を身近に感じた。2016/12/20
みづき
3
リアルタイムで彼のレースを見た事のない世代ですが、好きな馬は?と訊かれたら、即答します「シンザン」と。彼に関する本は可能な限り読みまくりましたが、その鞍上にいた栗田勝というジョッキーにはあまり関心がなかった事に、この本と出会って改めて気づきました。競馬に「・・・たら」「・・・れば」は禁句ですが、もし栗田勝が生きていたら、競馬はどうだったんだろう・・・と思う、思わせる。そんな本でした。後、また自分にとって新しいシンザンの本♡に出会えて嬉しい、そんな思いでございます。2012/06/04