内容説明
“日本初の回転翼機”としてその名を航空史に刻みながら、陸軍航空の主流からはずれた出自ゆえに「キ番号」も付与されず、詳細の語られることがなかった「萱場カ号観測機」―精密航空機模型製作の第一人者が、新たに発掘した多数の資料と関係者へのインタビューをもとに日本航空史の空白に挑戦、奇しき運命に彩られた幻のオートジャイロの姿を鮮やかに蘇らせる。
目次
序章 「カ号」輸送船団上空にあり
第1章 ルーツを探る
第2章 スタートライン
第3章 動きだした開発計画
第4章 「カ号」飛ぶ
第5章 「カ号」戦記
終章 「カ号」に続くもの
著者等紹介
玉手栄治[タマテエイジ]
昭和16年、福島県生まれ。福島第二高等学校卒。新聞配達を皮切りに、自動車修理工、国鉄臨時雇用員、ピアニスト、デザイナー等20回あまりの転職を重ね、名のあるプロジェクトへの参加も多い。その間、紙飛行機から大型精密模型まで、ひたすらに多様な航空機模型を作り続け、電動Uコンのシステム開発では、一応の成果を上げている。平成10年、精密古典航空機模型製作を目的として「玉手ヒコーキ工房」を設立、同年、日本橋丸善にて個展を開催。世界の航空博物館をめぐり、古典機の研鑽を積みつつ「24分の1の実機」といわれる精密模型の製作に打ち込んでいる。日本航空ジャーナリスト協会会員
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感想・レビュー
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モリータ
5
想像・推測で書かれている部分も多いが、三木教授の証言や人柄について詳しく書いてあって、個人的に貴重(公刊されてるものが出典ではなさそうだけど…)。何より開発・運用の際の微妙な立ち位置と、航空機製造の経験がなかった萱場工業・神鋼の挑戦を考えると、胸が熱くなる。http://www.youtube.com/watch?v=vhjVfVYBfgg ここで離着陸のようすが見れるけど、固定翼機に似た機体からすると滑走距離がウソのように短い(特に着陸!)。ジャンプテイクオフというオートジャイロならではの発進法も熱い。2014/01/11