内容説明
一人息子を残して病に斃れた“自慢の妻”を偲びつつ、戦いの渦中に身を置かなければならなかった連合艦隊トップ・リーダーの知られざる家族愛と人間像を活写した異色作。
目次
第1章 山本長官の死
第2章 自慢の花嫁
第3章 阿呆作戦
第4章 一時帰国
第5章 捷一号作戦出撃
第6章 レイテ湾の砲声
第7章 妻への悔恨
第8章 第五航空艦隊着任
第9章 特攻基地の沈鬱
第10章 八月十五日の決死行
著者等紹介
小山美千代[コヤマミチヨ]
昭和43年、東京都出身。専修大学文学部卒業後、競馬専門紙へ入社、編集制作に従事。その後、出版社に勤め、競馬雑誌、書籍の原稿を書き始める
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感想・レビュー
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黒瀬
67
宇垣長官というと玉音放送後、艦爆・彗星へ乗り込み、特攻を行なったことが有名ですが本著では宇垣さんの知られざる家族愛と人間像に触れています。妻を早くに亡くし、目の前で山本長官を失った彼には死が随分と身近になってしまったようで。軍人としての生き方を全うしたのでしょうが、遺された一人息子さんはやはりどうあっても生きて帰って来て欲しかったのではと思う。しかし『武人としての死に場所を与えてくれ』と言われてしまえば頷くほかあるまい2018/11/20
金吾
21
宇垣中将に関しましては『戦藻録』を昔読んだときに生真面目な印象を受けましたが、本書では家族思いの一面を知ることができました。他の宇垣中将を、書いた本より叙情的かなと思います。最後の部分は様々な言い分があると思いますが、その時代のその立場にならないと是非はわからないと感じました。2021/02/01
篠田@書店員復帰を目指し中!
3
文章のまとめ方が下手なのか非常に読みにくい。他の方の軍事関連の書籍と比較してはいけないかもしれないが。2013/02/23
y-kun
2
興味ある石田三成 と 宇垣さんが似たところがあったせいか、じっくり読みました。やはり終戦の日に特攻を強行、粋に感じた部下たちが特攻のお供に志願、これを許してしまい彼らを道連れにしてしまった。時代背景を考えるならば致し方ないと思うところである。 ここにも失敗の本質にあった「日本人の空気感」が垣間見えてしまった。これは今の時代にも伝えていると肌で感じるところです。2017/06/19
黎雪
2
長年、宇垣中将というと、折角生き残った若者を自殺の道連れにした人という印象でしたが、最近それは違うのではないかと思い、命日にあわせて読了。 現代の私や、内地で帰りを待つ者にとっては「生き残って良かった」しかなくても、当時兵としてあった人にとっては「生き残って良かった」も「命をもってしても敵を討つ」「死ぬべき時に死に損ない生き恥を晒す」という相反する思いもまた真実であったのだろうと思う。 71年前の今日の彼らの望みに、命令という許可が下りた、ということだったのではないかと思った。2016/08/15