内容説明
一発必中。“虎の子”の魚雷を抱いて縦横無尽。むくつけき深海の男たちの熱き人間愛!あけすけな、和気あいあいの海底生活。ドンガメ野郎の物語ベストセラー完結篇。
目次
忍耐の一語
紅顔の少年兵
伊一六九潜浮上せず
司令塔の最後
掌水雷長の苦悩
勇者は脱出せよ
浮沈のしかた
勇気百倍す
断たれた命の網
軍艦旗と信号長
遺骨を抱いて
海底にいまなお
潜水艦用語あれこれ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
高木正雄
2
伊169沈没の話が中心。送気がはじまり、クレーンで吊り上げられた時の乗組員の喜びと、クレーンのロープが切れたときの気持ちを考えると切ない。作者は戦後遺骨収集に尽力するわけだが、担当の横溝幸四郎課長は機関長と同期だそう。同じ海軍軍人として思うところあるのか、汗だくになりながら焼骨をならしていたそうだ。現代ではあり得ないだろうがこういうこともあったのだ2025/07/20
えふのらん
0
トラック島で自沈した伊号一六九潜水艦の回想録。前作が伊二五の勇壮な戦記だったのに対して、本作は着底して乗組員が絶命するまでをテーマとしており、かなり息苦しいものになっている。著者が聴音を担当しているだけあって(想像ではあるが)沈没船の描写が恐ろしく精密。戦後、全力を尽くして遺骨を探し求め氏名をも確かめようとする辺りに一蓮托生、同乗者を家族と思う潜水艦独特の情を見たと思った。2013/08/15