内容説明
動物たちの声をきき、自然とともに暮らしてきたアイヌの人びと。長く語りつがれ楽しまれてきた歌ものがたりをローマ字で記録し、格調高くも平明な日本語に訳したのが19歳の知里幸恵でした。世界で広く読まれる「アイヌ神謡集」がうまれるまでを美しく親しみやすいイラストとファンタジックな物語で描き出した絵本。
著者等紹介
ケッレル,アリーチェ[ケッレル,アリーチェ] [Keller,Alice]
1988年、イタリアのボローニャ生まれ。演劇と音楽を行き来する生活を経て、子どもや若者のための本を多数執筆。2015年、2人のパートナーとともに、ラヴェンナに子どもと若者のための書店「モモ」をオープン
はせがわまき[ハセガワマキ]
長谷川真樹。1976年、大阪生まれ。1999年にミラノ、ブレラ美術学院に留学。小さい頃からの絵を描くことへの情熱と本への愛をもとに、絵本の制作を中心に、水彩や色鉛筆でイラストを描いている。日本で刊行されるのは、本作が初めて
関口英子[セキグチエイコ]
1966年、埼玉県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学)外国語学部イタリア語学科卒。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短編集』で第1回須賀敦子翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tenori
51
私は知らなすぎた。日本の先住民であるアイヌのことを。そして、この絵本「イタリアの執筆家が書いたものが日本語に訳されている」という事実は、日本に生まれ、日本で育っていながら、アイヌに対する理解と文化の継承という点で大方の認知度が私とたいして変わらないものなのだろうことを示唆するものだ。文字がなかったアイヌの言語を日本語に変換し、金田一京介のもと『アイヌ神謡集』として遺しながら19歳で生涯を終えた知里幸恵さんの物語。ちなみに神謡集の世界的認知度は高いらしい。2023/10/01
ちえ
39
『アイヌ神謡集』を書いた知里幸恵の生涯、イタリアの作家アリーチェ・ケッレルが文章を、ミラノに住む画家長谷川真樹さんが絵を描き絵本化されたイタリアの絵本。幻想的な絵とお話画家魅力的。日本語版監修は銀のしずく記念館。本の巻末には知里幸恵のこととともに、イタリアの人類学者・写真家のフォスコ・マライーニが写したアイヌと熊の写真が載っている。翻訳者の関口さんは映画や本の翻訳者で第一回須賀敦子翻訳賞を受賞しているとのこと。↓2023/06/26
ベル@bell-zou
25
"天から役目なしに降ろされたものはひとつもない"…これが彼女の役目だったのか、と、そう思った。小さなころから聞いていたフチの謡うたくさんの物語。シロカニペ ランラン ピㇱカン コンカニペ ランラン ピㇱカン 。アイヌの言葉の音ひとつひとつを文字にして和文に訳す。理屈など何もない。ただ、そうしたいと。ユキエの願いが『アイヌ神謡集』になった。この作品がイタリアで作られて日本語に翻訳されたこととも重なる。まるでユキエが謡っているようなファンタジックな優しさも感じた。(アシㇼパさんの声で脳内再生)2023/07/08
花林糖
13
図書館本。著者はボローニャ生まれのイタリア人。『アイヌ神謡集』を編んだ知里幸恵のファンタジー度の強い伝記絵本。知里森舎(ちりしんしゃ)=幸恵の生まれ故郷登別にある「知里幸恵 銀のしずく記念館」2024/04/08
おはなし会 芽ぶっく
13
知里幸恵生誕120年の記念で出版された知里幸恵の生涯を描く絵本。アイヌには文字がない。ユキエが文字と出会ったことで残された言葉の数々によって私たちは知ることが出来ている。登別のウポポイが昨今有名になったが、是非銀のしずく記念館も訪れて欲しい。2023/07/11