事実婚と夫婦別姓の社会学

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  • サイズ 46判/ページ数 189p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784768479865
  • NDC分類 367.4
  • Cコード C0036

出版社内容情報

日本では法律婚での同姓が定められているため、別姓を望む場合は「事実婚」にならざるを得ない。
本書では、これまでの日本社会における事実婚と夫婦別姓をめぐる議論の枠組を分析し、「姓」の歴史や子どもの姓の問題、リベラルvs.保守などの二項対立の議論のもつれをほぐし、真に問うべき問題とは何なのかを提示する。さらに、事実婚当事者へのインタビューを通して家族規範や「結婚」制度などそれぞれの夫婦が抱える問題がいかに多様であるかを浮き彫りにする。
再び注目度が高まっている「夫婦別姓」の議論を整理するとともに、価値の多様性に家族のありかたを拓く最新の「夫婦別姓」入門書。

内容説明

日本では法律婚での夫婦同姓(氏)が定められているため、別姓を望む場合は「事実婚」にならざるを得ない。本書では、「選択的夫婦別姓制」実現への足がかりとするため、これまでの日本社会における事実婚と夫婦別姓をめぐる議論の枠組を分析、「姓」の歴史や子どもの姓の問題、リベラルvs.保守などの二項対立の議論の問題点を解きほぐす。さらに、事実婚当事者へのインタビューを通して、別姓を選ぶカップルの多様性と家族規範や「結婚」制度の問題を浮き彫りにする。再び注目度が高まっている「夫婦別姓」の議論を整理するとともに、家族の価値の再検討を促す書。

目次

序章 本書の概要と構成
第1章 「事実婚」問題の歴史的変遷(本章の課題―事実婚へのまなざし;戦前の内縁問題 ほか)
第2章 「夫婦別姓」を語る視座―対立軸を整理する(「姓の本質主義」という問題;夫婦別姓をめぐる争点 ほか)
第3章 多様な事実婚のすがた―事例紹介(田中さん(三〇代女性)―夫婦別姓のための事実婚
中村さん(五〇代女性)―事実婚は「フォーマルウェア」 ほか)第4章 事実婚カップルにとって「結婚」とは何か―結婚をめぐる差異化と同一化(「結婚」としての事実婚;「結婚」との差異化―家/嫁からの解放 ほか)
終章 家族の多様化を考える―家族概念の再考へ(家族・結婚をめぐるリベラルの内なる対立;家族概念の再検討へ)

著者等紹介

阪井裕一郎[サカイユウイチロウ]
1981年、愛知県生まれ。福岡県立大学人間社会学部専任講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は家族社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

香菜子(かなこ・Kanako)

26
事実婚と夫婦別姓の社会学。阪井 裕一郎先生の著書。時代遅れの日本はいまだに事実婚と夫婦別姓が認められていない。事実婚と夫婦別姓を認めて困る人なんていない。だったら事実婚と夫婦別姓を認めればいい。古臭い固定観念にしばられた頭の固い人たちが日本を動かしているせいなのかな。事実婚と夫婦別姓を認めて困る人がもしいるのなら、事実婚と夫婦別姓を認めないのも筋が通るけれど。2021/12/03

ぷほは

9
情報量的には新書くらいで多くの人に読んでもらった方がいいような気がしたが、読みやすく中々タメになった。事実婚/法律婚/同居といった諸々の区別を、現行制度を批判する側も肯定する側も極めて雑に扱ってきたことを反省した上で論点を整理し、法からの自由ではなく法への自由を志向しつつ、個々の当事者インタビューの調査からリアリティを浮かび上がらせる。コンパクトかつバランスのとれた話はこび。単にお題目だけの「多様性」ではなく、家族という理念的実在の価値を改めて認識しようという提案も社会学者としてまっとうな着地点だと思う。2021/09/13

tamako

8
研究書だから一文字も読み飛ばせない文体で、読むのに時間がかかってしまった。序盤は選択的夫婦別姓をめぐる歴史と議論を整理していて、単純な保守vsリベラルではないことを示している。事実婚当事者の声から、結婚を部分的に否定しつつも部分的には肯定して積極的に「結婚」であろうとする姿勢も見られ、制度を無くすことより、制度の変容の方が現実的かもね、と締める。難しい本だけど面白かった。おすすめ。本書を踏まえて「家族構成」を聴くと味わい深さが増すかもしれない。https://youtu.be/zTmmyIJ6eh82022/09/23

カモメ

5
法律婚と事実婚の歴史、事実婚をされている方への取材、選択的夫婦別姓に関する議論の整理など、興味深く読んだ。戦前日本で内縁が多かったのは、法知識が一般国民に浸透していない、結婚する前に家風に合うかどうか、嫁として適格であるかどうか試されていた、妾が多かった等の理由によるもので、家族の民主化が法律婚と結び付けられていた。女性の就業率が上昇した1980年代頃から事実婚が強制されるものから自発的に選択するものだと認識されるようになった。2022/01/26

キャメルズボン

3
ありがちな二項対立を批判し、事実婚という言葉や概念の変容を提示する。第1章のバランスの良さに対して第2章はかなり問題がある。夫婦別姓賛成反対を基準に各立場をA〜Dに分けたその分け方が大変雑である。第3章以降で事実婚実践当事者の紹介があるが、これが私からすると当人も家族も酷く保守的な価値観の人が多く、興味深い。古く抑圧的な家族観を持つ夫方の親族から逃れる為という消極的選択の結果の事実婚夫婦も多く、そうでなくとも「結婚」という形式には拘りを持つ人が多い。第4章の考察はそうした当事者の意識を言葉遣いから探ると2022/12/25

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