出版社内容情報
西欧以外で最も早く近代化を開始した社会の一つである日本。近代以降の人文・社会科学の成果をふまえ、これまであまり注目されてこなかった諸事実に基づいて日本の近代という時代を多面的に捉え直し、その意義を考える。
第1章では、近代とは西欧的なものなのか、日本独特の近代というものがあるのか等の問いを巡って文化という概念を検討する。第2章では、E.レーデラー、桑田熊蔵という明治から昭和初期に社会政策を論じた2人の思想家について論じる。第3章では、三越百貨店を取り上げ、近代文化の消費の仕方の変化を見る。第4章では、写真という新しい技術が、美人画と比べて近代の日本人の「見る」経験をどのように変容させたかを分析する。
内容説明
国内外の社会学・歴史学の研究者が、文化の社会学理論、学術の国際交流、百貨店の発展、美人画と写真等の視角と題材を通して、近代という時代を新たに捉え直す。
目次
序 日本の近代を再考するために
第1章 近代を問うこと、文化を問題化すること(はじめに―近代という時代;近代的なものと関連する用語群;日本の例外主義;文化と近代;近代の経験;多数の、絡み合った、オルタナティブな近代;近代を超える?)
第2章 近代のアンビバレンス―エミール・レーデラーと桑田熊蔵の日本研究1910‐1940(エミール・レーデラーにおける日本近代の批判;社会科学と社会政策の狭間で―桑田熊蔵の仕事 ;結論)
第3章 20世紀初期における日本の近代化と消費文化―三越百貨店の発展史を通して(三越の歴史と二人の重要人物;近代化と西洋のイメージ;生活様式と消費文化;新しい生活様式と新中間層;生活改善―節約と消費文化;流行会;文化媒介者;タブローの空間としての百貨店;都市におけるスペクタクル・スペースとしての百貨店;フラヌーズと女性の公共空間;パフォーマディビティとアイデンンティティ;百貨店と近代日本文化)
第4章 “外見”の発見と日本近代―「美人」の写真を「見る」ことの社会的様式に着目して(明治期の写真経験;芸妓に対するまなざし)