内容説明
公娼制度、廃娼運動、米軍基地周辺の性犯罪などの近現代史研究家であり、フィリピンで初めて声を上げた元「慰安婦」被害者の女性の自伝執筆を後押しするなど、「慰安婦」問題にもたずさわってきた著者が、「慰安婦」問題を否定する言動の誤謬と、対抗言説の陥穽を鋭く指摘。近代公娼制度以降の女性の性をめぐる歴史の視点から、なぜいまだに「慰安婦」問題を解決できないのか、なぜ日本人「慰安婦」は一人も名乗り出ないのかに焦点をあて、問題の本質に迫る。
目次
「慰安婦」問題の解決を妨げるもの
第1部 性暴力問題をみる視点(女性史からみた「慰安婦」問題;日本人「慰安婦」を不可視にするもの―女性国際戦犯法廷に参加して;被差別部落と買売春)
第2部 なぜ「慰安婦」問題を解決できないのか(日本軍「慰安婦」被害者金学順さん証言から二〇年―二〇年間の運動から何を学び、何を継承するのか;現代の軍事性暴力と「慰安婦」問題;日米軍事同盟が生み出した性売買をどう考えるのか;日本軍「慰安所」を作り出した性の歴史)
著者等紹介
藤目ゆき[フジメユキ]
大阪大学大学院人間科学研究科教授。日本近現代史、女性史専攻。アジア現代女性史研究会代表。主な著書に、『性の歴史学―公娼制度・堕胎罪体制から売春防止法・優生保護法体制へ』(不二出版、1997年度山川菊栄記念賞受賞)、など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えんさん(연싼)@読書メーター
0
慰安婦とされた女性たちは強制連行され、性奴隷にされた。しかし娼婦なら問題ないと、支援側にも差別意識があることを指摘し、なぜ日本人慰安婦が告発できないのかを歴史的に追っている二部が良かった。慰安婦問題とは単なる戦時性暴力だけでなく、基地従事者や沖縄、他の紛争地域でおこる性暴力にも繋がっていることを見落としてはならないはずだ。2015/09/25
バリバリブーン
0
本書を読んで日本人慰安婦という問題があることを知りました。 軍隊がある限り、この問題は継続しているという考え方も知れたことがプラス評価です。2015/04/25
-
- 電子書籍
- ゆう&YOU(2)