内容説明
人間お岩とうわさのお岩、あなたの知らない「四谷怪談」。史実と伝説が交叉する「四谷怪談」の源流となった実録小説、現代語訳による初の全訳。
著者等紹介
横山泰子[ヨコヤマヤスコ]
法政大学教授。専攻は近世文学、江戸文化
広坂朋信[ヒロサカトモノブ]
フリーライター、編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
48
『四谷雑談』の現代語訳。『四谷怪談』とは違い、お岩様の亡霊はほとんど前面には出ることなく、概ねは関係者のその後に終始した内容となっている。その関係者のその後が、また悲惨の一言に尽きる。女子供から次から次へと亡くなっていき、お岩様との関わり合いを示すのは世間の噂話だけ。芝居のあの存在感は無いものの、祟りとしてはこちらの方がよっぽど恐ろしいという印象を受ける。それと『嗤う伊右衛門』で印象的な場面のいくつかがここにも描かれており、成程あの作品をより深く理解する上で、やはり『四谷雑談』は必読だったのであるな。2013/07/29
マツユキ
8
鶴屋南北の『東海道四谷怪談』にも影響された『四ツ谷雑談集』の現代語訳を、色んな資料、他の怪談話も交えて。 元々良く思われていなかった三つの家に続く不幸、そして、断絶。お岩さまの祟りというか、自業自得と言いたくなる部分も多いですね。子供の病死は辛いですが…。お岩さまは、どちらかと言うと、家の守り神のようなイメージなのかな。読みやすく、面白かったです。 噂話、教訓、美談…。反発してしまいますが、なぜ今でも語られるのか。横山康子さんの『四谷怪談は面白い』も読みたい。 2020/10/02
八丁堀
3
鶴屋南北作の東海道四谷怪談の100年前の奥書を持つ写本が発見された四谷雑談集は、四谷怪談の原典のようだが、怖い怖い怪談ではない。疫病なり、やけの分からぬ病で、お岩を騙した連中が、その家族も含め全員が亡くなっていく、一人は鼠に食い殺される、だけの話で、怖くも何ともない。この本は、「己が身を達し度思はゞ先他人を達せしめよ(自分が救われたければまず他人を救え)」と本文にある様に、怪談と云うよりも、教戒書なのであろう。 2013/10/08
ゆーり
2
リアル四谷怪談?と思って読んだけど、お岩様伝説の背景とか当時流布していた都市伝説的な話を分かりやすく解説した本と認識しました。オドロオドロシイのはなく、淡々と史実を書き留めました、みたいな感じ。生憎「嗤う伊右衛門」は読んでないのですが、当時のルポタージュを読んでるようで面白かったです。2013/10/18
ちゃこ
1
「東海道四谷怪談」よりも先に書かれたお岩の物語『四ッ谷雑談集』の現代語訳本。 [訳者あとがきより抜粋→]江戸時代の「実録」は、取材によって事実に迫った記録(ノンフィクション)ではなく、当時「事実」として流布していた多くの伝聞(巷説、都市の噂話含む)をある特定の観点に沿って採録して編んだ読み物。2013/09/14
-
- 和書
- 湘南 - 海光る窓