内容説明
伊藤仁斎、山崎闇斎、荻生徂徠、新井白石、平田篤胤ら近世日本の知識人が展開した神と祭祀にかかわる言説「鬼神論」。それは神的存在の有無をめぐる議論を超えて、神と祭祀を意義づける言説への視点を生じさせた。それは祭祀を創設することと、創設するものへの視点である。あるいは祭祀の制度論的な視点。まさに「鬼神はそれについて語る人の言説に住む」のである。「鬼神論」の射程は日本の近代国家の創設、近代日本の国家神道から靖国問題にまで及ぶ。「鬼神論」はこのようになお新たな課題を提起しつづけている。本書は近世日本思想史の相貌を一変させた子安思想史学の原点であり、日本の近代を考えようとする人の必読書である。
目次
新版序 鬼神はどこに住むのか
旧版序 「鬼神」のディスクール
1 「鬼神」と「人情」
2 「有鬼」と「無鬼」と―鬼神と徂徠のアルケオロジー
3 「陰陽の鬼神」と「祭祀の鬼神」
4 朱子「鬼神論」の注解
5 「鬼神」を解釈する言説―朱子「鬼神論」の言説的構成
6 「鬼神」と「理」―三宅尚斎の「祭祀来格説」をめぐって
著者等紹介
子安宣邦[コヤスノブクニ]
1933年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)修了。大阪大学名誉教授、筑波女子大学教授。思想史・文化理論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。