内容説明
日本映画史を飾る輝かしい傑作には、いつも宮川一夫の名が記されていた。溝口健二の流麗な演出を余すところなく支えた力業、『羅生門』の不条理な世界を黒と白の鮮烈な対比のなかに描き出した若々しい才覚、多くコンビを組んだ稲垣浩との傑出した映像の数々、そして『悪名』『座頭市』シリーズなど数多くのプログラム・ピクチュアで見せた至上の職人芸。撮影監督・宮川一夫の豊穣な世界がこの1冊に。
目次
宮川一夫の仕事 映画の撮影
宮川一夫の出発
映画の師匠・稲垣浩
『羅生門』サイレント時代の映像美
『雨月物語』キャメラも芝居をする
『近松物語』宮川一夫の完成
広がったフレーム『炎上』
小津安二郎に魅せられた『浮草』
仕事師の初心を貫く『鑓の権三』
年譜の形式による伝記とフィルモグラフィ