内容説明
「オウムの中から外を見る」…ドキュメンタリーを撮るカメラマンの日々。馴れ親しんでいたはずの社会の、かつて一度も目にしたことのない、剥きだしの表情がそこにあった。
目次
1 荒木浩を選んだ理由
2 命じられた撮影中止
3 オウムと社会との狭間
4 麻原初公判、上九一色で過ごした二日間
5 テレビからの別離
6 勃発した不当逮捕
7 深まる焦燥―僕にオウムが見えていると思いますか?
8 諦観―成就しないドキュメンタリー
9 共有できるものは何だ?
10 ラストシュート
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
keiniku
10
映画「A」はまだ見ていないのだけれど、もう、この本ですでにドキュメンタリー!この場合はセルフドキュメンタリーだけれど。描かれている、撮影での場面はどんなであろうかと、映画も見ずにはいられない気持ちになった。オウム…というより、撮影対象とした人物「荒木浩」という人物の姿が目の前にいるかのように見えて来る。映画も、著作も、なんであれ人間を、または周りにある物事とどう関係して見ていくのか、なんだなあ、と思わされる。素晴らしい一冊。2016/12/13
くるた
6
オウムの中心にいた幹部たちは、その後発言が報道されたり、本人が手記を発表したりと、一応その内面について発信されてきました。でも、一般の信者は一体何を考えてるのか?そういえば今まで目にしたことがありませんでした。荒木浩という人は不思議な人ですね。なんでこんなに肩の力が抜けている(ように見える)のか。被害者に対する感情が伺えないのが非常に残念でしたが。本書はあくまで「撮影日誌」なので、やはり映像で「A」を観たいなと思いました。この撮影から20年以上経った現在も、まだアレフをやってる荒木浩。謎が深すぎる。2021/09/10
かみーゆ
2
荒木浩は今どうしてるんでしょうか。オウム事件以降、「悪いことしたヤツは何をされても仕方ない/何をしてもいい」っていう社会になってしまったという気がします。その意味では麻原が起こしたハルマゲドンによって日本という国は壊されてしまったと言えるのかもしれないですね。予言は当たっていたわけだ。いやはや。2023/06/14
kera1019
2
麻原とオウムが起こした犯罪については絶対に許せないけども、「オウムの中から外を見る」という本書の視座を読むとオウム信者の別件•微罪逮捕や事実と乖離する報道には酷い違和感を感じる。とは言え僕個人がオウム真理教と向き合った時、一個人として当たり前の態度をとれるかと問われると正直、マスコミのマインドコントロールのお陰でオウムから出されたお茶の一杯もよう飲まんと思う。それにしても「転び公妨」、それを行う公安の心理は怖い…2013/07/11
ひるお
1
日本を震撼させた一連のオウム事件。過熱する報道と深まる謎の中、一人のディレクターがドキュメンタリー撮影に乗り出す。森達也。オウムの広報担当者・荒木浩にコンタクトをとり、モザイクをかけない撮影がおこなった彼の、取材と思考と迷いの記録が本書だ。とにかく文章が上手く、熱がある。撮りたいという気持ちの熱。そして、特筆すべきはやはり迷いだと思う。森自身も、荒木も迷う。ぶれ、惑う彼らを取り囲む、得体の知れないものとしての“社会”。事件を生んだ社会の闇は、当時よりもっと歪み、濃くなっている気がする。2025/06/30




