出版社内容情報
『ゆきゆきて、神軍』の原一男監督、待望の最新作。
これまで国家や社会に闘争を挑んだ「尖がった」人に迫って撮ってきた原監督が、今回は「普通の生活者」を撮っておもしろいのか? と戸惑いながら、国賠訴訟に至る原告一人ひとりの背景とシステムで動く国家の対比を鮮やかに描き出す。ドキュメンタリー故に撮りこぼした、あるいは撮影後だから語れる被撮影者・監督自身の想いを綴った製作記録は、時代に対峙するドキュメンタリー映画論として、映画を観ていなくとも面白い。
原一男+疾走プロダクション[ハタカズオプラスシッソウプロダクション]
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内容説明
鬼才、原監督の新境地!23年ぶりのドキュメンタリーの格闘が始まる。産業発展の犠牲者として国に捨てられたアスベスト被害者。普通の人々の普通でない苦しみと国家と対峙するまでの8年間の葛藤を悩み惑いながら描く。
目次
出演者編(武村絹代インタビュー―石綿疾患が母と娘の関係をいびつにする怖さ;村松昭夫インタビュー―産業発展のためには人命を軽視しても仕方がないという“三浦判決”の非情;柚岡一禎インタビュー―法廷の場で原告自身が立ちあがって、思うところをぶつけたほうがいいと思うよ)
作り手編(金平茂紀×原一男対談―ドキュメンタリーとは時代を写す鏡である;原一男監督インタビュー―「生活者を撮る」ということ;『ニッポン国VS泉南石綿村』製作の裏側で)
資料編(世界のアスベスト事情;シナリオ採録;泉南アスベスト訴訟関連年表;巻末付録 映画「チラシ」デザイン集)
著者等紹介
原一男[ハラカズオ]
1945年6月、山口県宇部市生まれ。東京綜合写真専門学校中退後、養護学校の介助職員を経て72年、小林佐智子と共に疾走プロダクションを設立。同年、『さようならCP』で監督デビュー。74年、『極私的エロス・恋歌1974』を発表。セルフ・ドキュメンタリーの先駆的作品として高い評価を得る。87年、『ゆきゆきて、神軍』を発表。大ヒットし、日本映画監督協会新人賞、ベルリン映画祭カリガリ賞、パリ国際ドキュメンタリー映画祭グランプリなどを受賞。94年、小説家・井上光晴の虚実に迫る『全身小説家』を発表。キネマ旬報ベストテン日本映画第一位を獲得。05年、初の劇映画『またの日の知華』を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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