内容説明
「人間金庫」と呼ばれる三畳一間の独居房、教誨師のみが死刑囚と接触できる。そこで行なわれる教誨とは、宗教を軸に死刑制度を考える。
目次
第1章 死刑台への道筋で
第2章 宗教教誨とは
第3章 キリスト教と死刑
第4章 中世に発達した死刑廃止の思想
第5章 死刑廃止ヨーロッパの経験
第6章 宗教は死刑制度を変えられるか
著者等紹介
佐藤友之[サトウトモユキ]
1960年東京経済大学卒。雑誌記者などを経て、現在フリーのジャーナリスト
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感想・レビュー
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gtn
28
監獄法に依る義務規定は廃止されたものの、現行法でも可能ならしめている教誨。その教誨が死刑囚に何の意味があるのかと問う著者。安寧にさせて、死への後押しをしているだけだと著者は断じる。確かに、戦時中権力に追従した形骸宗教にはその程度の力しかなかろう。また、憲法の「信教の自由」にも反する。ただ、生命を永遠と捉えるならば、悪を善に昇華させる真の宗教が必要。そのためには、接見の自由等、最低限の人権は保障しなければならないと考える。余談だが、巻末に文中写真の撮影者への謝辞があり、それが当方の同級生だったので驚いた。2022/02/08
kera1019
3
宗教は死刑制度を変えられるか。冤罪や裁判の制度、教育刑などの刑罰観、教誨制度、犯罪被害者の救済、人権意識、死刑廃止運動など死刑とは何か、人が人を裁く事の重さを考えさせられる… 殺される為に生かされる死刑囚の救済と救済されない犯罪被害者、宗教は双方を結ぶ支えになるのか難しい…2013/09/18