内容説明
消えても遺る魂の叫び。刑死した人、刑を待つ人、冤罪を叫び死んだ人。それらの人びとのうたを十のテーマに分け、事件の概要をも述べながら、死刑制度を考える。
目次
第1章 死刑台への道筋で
第2章 独房の小さな仲間たち
第3章 宗教への目覚め
第4章 遙かなる故郷
第5章 処刑地からのメッセージ
第6章 獄窓から
第7章 母よ、父よ
第8章 贖罪の詩
第9章 無実の叫び
第10章 死刑囚は主張する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
23
死刑囚の和歌や句を紹介する度、「辛い」という言葉を連発する著者。「宗教は死刑にかかわる問題を何一つ解決しなかったし、また、できなかった」とも。人はその瞬間まで、何をもってしても死の恐怖を断ち切ることができないと、著者は思い込んでいる。だが、バー・メッカ事件や吉展ちゃん事件の犯人等、平安な境涯に至った者や真人間になることを誓いながら死に赴いた者もいたはず。2021/06/25
紫苑
0
まず「うた」とあるが、短歌より俳句がかなり多い。また、歌論集ではなく、短詩の側面から捉えた死刑制度を論じた本といったほうが妥当だろう。面会や学習会など死刑囚の自由度は時代による変遷があり、それにつれて作品発表の機会や方法に変化があることは興味深かった。教誨制度については、著者が必ずしも好意的に受け止めていないことが感じられた。また、死刑制度に反対の立場から書かれているので、時として著者の意見が歌評・句評の表現に反映されたきらいがあるようだ。2019/04/20