出版社内容情報
作家が演じる素人芝居「文士劇」。その嚆矢は、明治前半の文壇をリードした尾崎紅葉率いる硯友社によるもので、130年以上もの歴史がある。その文士劇が、近頃復活の兆しを見せている。昨年、関西・九州在住の作家が中心となり、大阪で東野圭吾原作「放課後」を上演。今年12月には、盛岡文士劇が30回目を迎える( 演目は、横溝正史原作「犬神家の一族」)。そして来年5 月には、日本文藝家協会が創立100周年を記念して文士劇を上演する。
そして文士劇と言えば、文春が主催した「文春文士劇」が筆頭だろう。昭和9年に始まり、戦争での中断を挟み、昭和53年まで続いた。確かに、いい歳をした作家たちが素人芸を見せるお遊びだったけれども、平和な時代だったからこそ続けられた本気のお遊びであったのだ。その文春文士劇の全容と作家たちの真剣なドタバタを余すところなく伝えたのが本書である。
菊地寛、三島由紀夫、石原慎太郎、遠藤周作、松本清張、五木寛之、井上ひさし、
瀬戸内寂聴、筒井康隆、中上健次、村上龍……みんな出演した文士劇が令和に甦る!
【目次】
【主な目次】
はじめに
第一章 文士劇事始め
第二章 復活する文士劇 文春文士劇 昭和二十年代
第三章 文壇最大のお祭り騒ぎ 文春文士劇 昭和三十年代
第四章 作家が時代の花形だった 昭和四十年代
第五章 黄昏せまる文士劇 文春文士劇 昭和五十年代
文春文士劇出演者 略歴
おわりに