出版社内容情報
2023年ブッカー賞最終候補作。
語り手の私(ラウラ)とアリナは親友で、20代のころはお互いに「子どもは産まない」と誓い合った仲だった。その意志をかたくなに貫く私とは裏腹に、アリナは結婚し、やがて子ども(イネス)を身ごもる。そんななか、ラウラはアパートの隣に暮らす母子家庭の男の子とだんだん交流を深めていく。男の子は感情をコントロールるすことが苦手で、衝動的な暴力を母親にぶつけがち。母親は子どもを育てていく自信を失い、故郷の妹に預けることを考えている。やがてイネスが生まれるが、イネスには生まれついて重度の障害があり明日を生きる保証もない状態だった。イネスの誕生と男の子との交流を通じ、登場人物たちの気持ちは揺れ動き、本人がそれまで思いもしなかった自らの気持ちに気づかされていく。イネスの生命や母という宿命、女として生きることの葛藤……。だが、物語は思わぬ形で最後を迎えることになる。
【目次】