出版社内容情報
校内で完全に孤立しながらも、生徒への性暴力の常習者を少しずつ追い詰め、立ち向かっていく莉生(りお)。新たな被害をなんとか食い止めることができ、職員の中にも理解者が少しずつ生まれはじめた。しかし、被害者たちの心身の傷は癒えず、救済の道のりも険しく……。
★巻末付録:『裸足で逃げる』(太田出版)、『海をあげる』(筑摩書房)などの著作がある上間陽子さんの解説文を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
34
上巻に続いて一気読み。養護教諭の味方になってくれる先生が現れて、事態は行きつ戻りつも少しずつ好転していった。上間陽子先生が「解説」で書いていらっしゃることに勇気をもらえるし、大人社会が変わっていかなければならないと思う。法改正もバージョンアップを目指してほしい。性加害の悪質性が、もっともっと認識されることを願う。2024/08/25
Yoshiko
6
読み進めるのが苦しいくらいだった上巻に対し、下巻では次第に、問題に気づき主人公とともに解決しようとする人たちが増えていきます。支援者が孤立しないこと、ものすごく大事です。巻末の上間陽子さんの寄稿にあるように、「言えない状況」を作っているのは「子どもの声に耳を傾けない大人たち、加害者の言葉を優先するコミュニティ、声を上げたこともに沈黙を強いる社会」です。そういう社会を変えて子どもたちが安心して成長できる環境を作るのは、私たち大人全員の責任だと思います。2024/07/01
圓子
2
理解の難しさ、処罰あるいは更生の難しさ、なによりも支援の難しさ。影響する範囲の大きさと時間の長さとの深刻さ。地味でも地道でも「こういうことがある」ことを知ることからか。2024/09/19