出版社内容情報
小学校2年生のとき、母が統合失調症を発症。
私は生き延びるために、「一万年生きた子ども」になった――。
精神疾患のある母をもつ漫画家による私小説的エッセイ。妄想にとらわれ何度も失踪する母。連れ戻しに行く8歳の私。家にいない父。平穏なふりをして過ごす学校生活。
やがて私は、自殺未遂を繰り返すようになり……。
子どもらしく生きることを奪われた苛烈な内情を「一万年生きた子ども」と表現する感性の深さが、私たちの胸をうつ。
内容説明
妄想にとらわれ何度も失踪する母。連れ戻しに行く8歳の私。家にいない父。平穏なふりをして過ごす学校での生活。やがて成長した私は、希死念慮や心身の不調で生活がままならなくなり…。「一万年生きた子ども」とは、子どもとして生きることができず、大人になってからも悩まされた経験を表す言葉。精神疾患のある母をもつ漫画家が、自身の半生をふり返る少しふしぎな物語。
目次
1 一万年生きるその渦中で(黄金の体と一万年の心が目覚めるとき;墓で息をする;誰も来ない運動会;初恋と不法侵入;みちこ姉さん ほか)
2 生涯、一万年生きた子どもである(人生すべて後遺症;母と仕事;女の子の友だち;留年;女性嫌悪 ほか)
著者等紹介
ナガノハル[ナガノハル]
1979年、神奈川県生まれ。双極性障害2型という障害をかかえながら、日々の苦労をまんがにすることをライフワークとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みーなんきー
19
なかなかリアルで、著者が一生懸命書いた本という事が伝わりました。母親が統合失調症、本人が双極性障害の中、仕事中心の父、鬱の姉、に期待できず8歳の時から警察や医師、社会福祉士などと関わり立派な大人として生きてきた。そのための弊害が出てきて、ご自身も自助グループに参加しメンタルの補修をしている最中である。相手の感情を想像して気を回しすぎない、など私にも役立つコツがありました。2022/05/19
よしじ乃輔
13
8歳で統合失調症を患う母のケアを姉と行った著者。1秒1秒がスローモーションで一年にも感じた事から「一万年を生きた子ども」と自らを呼び話は進みます。母を庇い常に大人の振る舞いをし、人の目を気にしてきた体験談に胸が詰まりました。今も子供のままでケアを担っているかの様な克明な書き振りが、深く深く刻まれている事を想像します。自助グループにも通われているとのこと。早くから大人の役割を担う子供の大変さと病識について知る事が少しはできた気がします。2021/12/28
ニコぴよ
9
精神疾患の母を小学姉妹が面倒をみる。母の身柄引受に小学生の著者が何度も向かうなど、読みつつ父親は仕事とは言えどうしてたんだろと嫌なきもちが湧く。年月が過ぎ姉は鬱病にハルさんはリストカットで通院の常連に、こうなることは想定出来るが辛すぎる。一万年生きた子どもという概念が発生した頃から、恐らくハルさんは病識無き発症をしたのだろう。未だ治療中とのこと、せめてこれからの時間を穏やかに過ごせることを祈りたい。2024/08/13
kameyomi
8
簡潔なレビューを拝読しなかったら、手にしなかったであろう本。感謝。 ヤングケアラーと言う言葉がまだない時、統合失調症の母親を一所懸命に介護し、自らも精神を病んでしまった作者の自伝。 8歳から重荷を背負い、どの様に考え悩み、精神に異常を感じていったかが、分かりやすく書かれていてとても辛い。 今朝の新聞に、小6の6.5パーセントがヤングケアラーという 記事があり衝撃を受けたが、子ども達を救う国の制度が充実する事を願う。2022/04/08
hakofugu
3
図 0点 途中下車 何が言いたいのか解らない。2024/02/29
-
- 和書
- 熊本の文学