出版社内容情報
自他共に認めるワグネリアン（ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーの音楽に心酔している人々）である三島由紀夫。
三島はどの程度、ワーグナーを愛聴していたのだろうか。
ワーグナーに限らず、三島由紀夫は生前、どのような音楽を聴いたのか？
三島の作品にはどのような音楽が登場しているか？
三島由紀夫と三島文学にとって音楽とは何であったのか？
三島の小説・戯曲・評論・随想・雑文・公開日記・日記・書簡等を基本資料としながら、三島の音楽体験を検証、考察する。
内容説明
ワーグナーが三島を殺した？天才作家にとって、音楽は敵か？味方か？誰も書かなかった三島論。
目次
第１章 初恋とピアノと
第２章 愛しきはオペラ
第３章 ワグネリアン伝説
第４章 映画「憂國」、音楽の謎
第５章 絹と軍艦
第６章 死と音楽と
著者等紹介
宇神幸男［ウガミユキオ］
昭和２７（１９５２）年愛媛県宇和島市生まれ（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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パトラッシュ
38
三島由紀夫と文学、演劇、スポーツ等の関係は様々に論じられているが、音楽との関係を意識したことはなかった。小説で音楽を描く例も少なく音楽論の著作もないので当然だが、著者は膨大な著作から音楽関係の文章を調べ上げ影響を与えた音楽を探り出す。ワーグナー好きとされる実相や映画『憂國』の劇音楽、楯の會の隊歌など伝記にもない話も多く非常に面白かった。ただ著者は西洋音楽の専門家であり、三島が幼少時から親しんだ歌舞伎の囃子や能の謡については一切言及していない。誰かこの方面から三島の生涯と作品との音楽の関係を調べられないか。2020/11/19
コチ吉
8
今年は三島没後50年で再版などが相次いだ。学生時代「近代能楽集」を卒論にするという女性の影響を受けて随分と読んだが、あまり琴線に触れなかった。衝撃的な自死や緒形拳主演の公開禁止？の映画など、闇のイメージがどうしても強く、暫く遠ざかっている。結局三島にとって音楽とは身にまとう衣装のようなもので、ボディービルで鍛えあげられた肉体美には不要だったのではないだろうか。2020/12/22
