日本のマンガ・アニメにおける「戦い」の表象

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日本のマンガ・アニメにおける「戦い」の表象

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  • サイズ A5判/ページ数 325p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784768458501
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0074

出版社内容情報

商業アニメであるかぎり、そこにはファンの存在がある。ファンが期待する世界観やキャラクターが設定されることで、その作品は長く愛されるものになる。マンガ・アニメの「戦い」において繰り返し描かれてきたのは、自らを犠牲にし戦うことで存在意義を見出す主人公たち、「戦い」そのものを肯定するために、守るべき者、自分を支配する者とも「絆」で結びつこうとする姿。本書から戦争へと向かう人々の熱狂が聞こえてくるようだ。日本アニメーション学会賞2016奨励賞受賞論文をより読みやすく改稿。

目次

序論
第1章 傷つく身体と戦う物語(キャラクターが持つ一つの身体;“キャラ”の強度を作り出す技術 ほか)
第2章 戦う物語における主人公の身体(転倒される「アトムの命題」;「ジョーの命題」と「科学」の相克 ほか)
第3章 格闘マンガの展開(少年マンガと格闘マンガの親和性;成文法と暗黙の法の対立 ほか)
第4章 サイボーグマンガの展開(ボラーであることの自覚と平和という価値観;劣等感と優越感の混濁が生み出す戦闘共同体の絆 ほか)
第5章 ロボットアニメの展開(「リアルロボット」の登場;ロボットアニメと理想のコミュニケーション ほか)
結論

著者等紹介

足立加勇[アダチカユウ]
学習院大学大学院人文科学研究科身体表象文化学博士課程単位取得退学、博士(表象文化学)。2016年6月に、博士論文『日本のマンガ・アニメにおける「戦い」の表象』により日本アニメーション学会・奨励賞を受賞。現在、東京造形大学非常勤講師、学習院大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

62
なぜマンガ・アニメは戦うのか。戦いにさして苦悩も見せず、カッコよさを追求しているように見えるのは、果たして私の勘違いだろうか。平和のために、「絆」のために、と言われながらも、著者が述べるように、「絆」の最たるものはナショナリズムであり、戦いを肯定する言説は論点を先取した循環論法でしかない。周囲の状況に、未来に対する危機を予兆のように感じる今、非暴力と平和へのヒントを知りたくて読む。本書の分析は一見長くても、指摘されるべき個所をきちんと論じ、結論にいたる論理が一貫していると思う。途中から一気に読み終わった。2020/10/28

内島菫

9
本書の特徴として、マンガやアニメ作品に表現されたものだけでなく、それらを取り巻く受容者(ファン、受け手としての作り手等)の反応をも取り込みつつ評してゆくスタンスがある。つまり、表現とその受容(いろいろな意味で享受と言ってもいい)の、ミメーシスとしての循環をも視野に入れるかなり野心的な表象文化論だと思う(その点が散漫な印象をも与えているとも考えられるが)。が、そもそも表現というものは、それがうまれた瞬間からミメーシス的循環が回りだす類のものだろう。2024/05/21

夢読み

3
マンガ・アニメのキャラクターはなぜ戦うのか? この視点から日本人の(特に戦後の)精神史とも言える論が展開され、面白い。なぜ戦うのか? 端的に言えば生きている証を欲しているからだと思う。格闘マンガであれば己の身体の限界を乗り越え、サイボーグマンガであれば生身の身体を欲したり感じたりする事で、生を実感する。欠落を設定し、それを希求するという構図は文学でも見られ、よくある物語の構図なのかもしれない。2020/01/14

ヨシツネ

2
傷つく体と傷つかない体の矛盾を少年マンガが希求しておりサイボーグ009のような何故戦うのか、戦いへの抵抗という大きなテーマ、物語から格闘マンガでの絆が絶対というジャンプの思想に変わり、更にデータベース消費の内容に先鋭化したという内容。これ自体は物珍しくないがなんとなく格闘系のマンガアニメの絆、つまり家父長制やネオリベからなる死生観の絶対化をイヤがる理由も見えてきた気がした2020/03/21

Holly

1
アンダーソンの想像の共同体を利用しながらの、アニメにおける絆の価値を説明。 「傷つく身体」と「傷つかない身体」の弁証法としてアニメ史。2020/09/01

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