内容説明
出会い、友情、冒険、好奇心、別れ…そして、希望。たくましく生きた子供たち“キジムナーkids”を、ウルトラマンのシナリオライターがみずみずしく描く自伝小説。
著者等紹介
上原正三[ウエハラショウゾウ]
1937年沖縄生まれ。中央大学卒業。シナリオライター。同郷の金城哲夫に誘われて円谷プロ文芸企画室に属し、1966年の特撮テレビ映画『ウルトラQ』第21話「宇宙指令M774」で本格デビュー。1969年にフリーとなり、以後は30分枠のテレビ映画(特撮もの、スポーツもの、ロボットアニメなど)を中心に活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
55
太平洋戦争末期の沖縄が舞台。戦中戦後を生き抜いた子供たちの物語。本土への疎開、対馬丸、ひめゆり、集団自決についても語られる。戦後、遺骨を集めガマに納める元軍曹の話、身売りや軍の物品横流しなどの危険行為をしながらたくましく生きる若者の話など、かなり濃い内容。ハナー、ハブジロー、ポーポー、ベーグァ、サンデーたちはガジュマルの樹上に作った秘密基地[キジムナーハウス]に集まり、明るくたくましく成長していく。▽なんでか児童書と思っていたけど、なんか違った?戦争文学かな。ウチナーグチがいい。2018/10/07
keroppi
37
ウルトラマンのシナリオライターである上原正三さんが、戦中戦後の沖縄を描く自伝的小説。沖縄の言葉を多用し、その体験をしたものしか描けない世界。悲惨であるが、子供たちは、のびのびと生きており、未来に向かって進んでいるようだ。2017/09/03
おかむら
31
沖縄版スタンドバイミーのような少年たちの成長譚なのかと思って読んだら、かなり重い沖縄戦の爪痕が描かれてて軽い気持ちでで読めなかった…。著者はウルトラマンなどの子ども番組のシナリオライターをやってた方で自伝的小説とのことです。2017/10/22
katsubek
22
著者はウルトラシリーズのシナリオライター。懐かしくて手に取る。終戦前後の少年期を描いた自伝的小説。登場人物たちは、それぞれに苦しみを秘めつつ、明日へ向かう。「命こそ宝」を胸に。少年の柔らかな、しなやかな心をゆったりとした口調で語り上げた。そして、奥付けの「2017年6月23日 第1版第1刷発行」の文字を見たとき、ふわっと。うるっと。強くおすすめです。2017/08/07
リンデ
11
金城哲夫氏の盟友で、ウルトラシリーズなどで著名な活躍をしてこられた脚本家、上原正三氏の初めての小説。戦中戦後の氏の故郷沖縄を舞台に、凄惨な戦争を乗り越え、明るくたくましく生きる少年達の出会いと別れが描かれる。「見回すとみんな大変な思いをした人ばかりだ。生きていることが不思議な人だらけだ。だけどなぜか明るい。悲しいから笑顔をつくるのか、嬉しいから笑顔になるのかわからない。きっと息が吸える、息が吐ける。生きて呼吸が出来るから笑顔になれるのだろう」(312頁)少年文学としても、沖縄を語り伝える文学としても傑作。2018/04/17