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出版社内容情報
一兵卒が信号無視、警官がそれを咎め、軍と警察がメンツをかけた大騒動に。「モノが言えなくなる時代」が到来した貴重な歴史の一冊。
山田邦紀[ヤマダクニキ]
1945年、福井県敦賀市生まれ。早稲田大学文学部仏文卒。夕刊紙『日刊ゲンダイ』編集部記者として三十年に亘って活躍。現在はフリー。著書に『ポーランド孤児・「桜咲く国」がつないだ765人の命』(現代書館)、共著に『東の太陽、西の新月─日本・トルコ友好秘話「エルトゥールル号」事件』『明治の快男児トルコへ跳ぶ─山田寅次郎伝』(いずれも現代書館)、編著書に『明治時代の人生相談』(幻冬舎)他。
内容説明
戦争は軍人の怒声ではなく、正論の沈黙で始まった。大阪の交差点での信号機無視をめぐる兵士と警官の口論は、なぜ戦争へのターニングポイントになったのか?“もの言わぬ日本人”への、戦前史からのメッセージ。
目次
第1章 発端
第2章 拡大
第3章 決裂
第4章 泥沼
第5章 決着
第6章 背景と意味
著者等紹介
山田邦紀[ヤマダクニキ]
1945年、福井県敦賀市生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。夕刊紙『日刊ゲンダイ』編集部記者として三十年間にわたって活動、現在はフリー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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hk
15
「1931年、満州事変」「1932年、5.15事件」「1933年上旬、ナチス党が政権奪取&日本の国連脱退」「1933年6月17日、天六ゴー・ストップ事件」「1935年ロンドン軍縮条約を反故に」「1936年、2.26事件」 時系列に並べてみるとゴー・ストップ事件が回帰不能点となったのだなと痛感。いわば軍縮と軍拡のターニングポイントだ。天六事件の最大論点は「公務中以外の軍人に統帥権が適用されるのか否か?」であった。私事で不心得を働いても憲兵隊による甘~い軍法会議でお茶を濁すだけというのは虫が良すぎるのだが…2017/07/25
kawa
11
今から見れば、何と幼稚な事件かとしか思えない。しかし、この世界観故に悲劇的な戦争の結末を迎え、多くの命がわけなく奪われたのだ。人間は、何と愚かなのだろうか。そんな視点を常に忘れてはいけないのだろう。2017/07/12
BATTARIA
3
前書きでファシズムが云々というのに、いきなりドン引きさせられたが、著者が日刊ゲンダイ出身ならムリないか。事件発生から終結まで書いた後、終章で当時の時代背景を説明しているのは、蛇足でしかなかった。軍縮への軍の反発をダイエットのリバウンドと形容したのは、お粗末にもほどがある。大阪における陸軍と警察のトップである、第四師団長の寺内寿一と大阪府知事の縣忍が、決着がついた際に「君と僕と、こうして二人がはじめから顔を合わせてざっくばらんに話し合えば、問題はなかったね」と握手したそうだが、これこそが問題の本質なんだが。2020/11/07
しまちゃん
3
昭和八年に起こった「ゴー・ストップ事件」というものを初めて知りました。日本は決して一気に軍国主義化したのではなく、この昭和八年の事件までは、軍国主義化までには至っていなかったようです。「ゴー・ストップ事件」は、満州事変の2年後、5・15事件の翌年であり、2・26事件の3年前であり、時代は急激に戦争に向かって回転していて、いわば起こるべくして起きた事件の様です。軍国主義化への道を、もはや引き返せなくなったのが昭和八年という年で、その象徴が一軍人と一警察官との間での些細な事件「ゴー・ストップ事件」なのです。2017/08/19
ポルポ・ウィズ・バナナ
2
一等兵の信号無視を警官が注意したことに対して陸軍が激怒。アホみたいな話。だがそんなアホどもがアホなロジックのまま戦争遂行してったんだな。ホント胸糞悪い。 荒木貞夫・寺内寿一(井関隆昌)。無能なくせに居丈高な陸軍の暴走。対して府警側の登場人物たちは粟屋仙吉はじめ帝大卒ばかりで、知性の格差も感じずにはおれん。しかし、当時の大阪は反権力的というか、今との違いよな。2017/07/14