出版社内容情報
池田小児童殺傷事件を機に、様々な問題点が指摘されながら成立した心神喪失者等医療観察法。「再犯の虞がなくなるまで」という刑期なき収容を生み出したその基盤は、精神障害者に対する差別であることを元新聞記者が丁寧な取材で明ら
目次
医療の空白
滞留
ベルトコンベヤー
精神鑑定
社会防衛
悲劇
事件前夜
精神科の無医村がある
公費の無駄
人格障害
新薬
忘れられた病棟
精神族
本音
推進者か伴走者か
流れに逆らい街で生きる
著者等紹介
浅野詠子[アサノエイコ]
1959年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒。奈良新聞記者、特報課長を経て2008年退社し、フリーのジャーナリストになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころりんぱ
53
医療観察法=「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」平成15年に成立した法律だそうです。潤沢な医療環境が整った国の施設で、重大事件を起こした精神疾患者の治療をし社会復帰を目指すというこの法律について、様々な方面に取材を行い、実は精神疾患者を隔離収容、管理するという一面を明らかにし、その体制の問題点を指摘しています。知らないことばかりで、誤解していることもたくさんあり、勉強になりました。2014/07/14
サトシ@朝練ファイト
25
大阪池田小事件がある意味転機だったのか。この本は医療観察法により心神喪失などで重大な他害行為を行った触法患者だけを強制収容する(刑期なき)精神科病棟を取材したものだ。強制入院の期間は当初18ヶ月を想定していたが上限はなく、国の予算で患者1人に年間2200万円をかける手厚い医療?とのこと。筆者の言わんとするところは、 社会的関心の低さ、地域での連携不足、入院ではなく人とのふれあいが重要と読んだ。2017/03/18
tu-ta
4
丁寧な取材に基づいて書かれているし、問題意識も鮮明で、知ならなかったこともたくさん書かれている。しかし、何かが足りないような気がする。うまく言語化できないのだけど。2014/10/05
てくてく
3
医療観察法施行に伴い、各都道府県で新法に対応した施設の建築が行われた。それに対しては、触法精神障害者が収容される施設が近所に出来ることに由来する治安悪化を憂慮する反対の声と、収容された施設でどのような治療ないし処遇が行われるのかが不明だということや精神障害者の差別と偏見を助長するのではないかということからの反対の声があがった。他方、その実態については明らかになっていないことから、著者が新法の適応を受けた人々へのインタビュー等を通じて、医療観察法の問題点を指摘した本。2014/09/21
akaichihiro
1
理想と現実はまた別。いやそもそもこの法律に理想なんてものがあったのかどうか。熊峯(仮)くんとその仲間たちの話は泣けた。医療観察法の問題点を率直に突いていて良かった。2015/03/29