出版社内容情報
近年の日本では、「延命」という言葉が否定的な意味で使われることが多くなった。「延命」は医学の当為だが、それに異を唱える潮流が〈反延命〉主義として現れ、勢いを増している。社会保障の財源や医療資源の不足、日本人の死生観などを根拠に、「生産性」のない生の価値を否定し、改善の見込みのない苦痛を長く味わわせることの非倫理性を説くなど、その事象はさまざまである。本書では、それらをある程度網羅し、さらに過去から現代に至る歴史的経緯を解明する論考が並んでいる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒナコ
6
2020年以降のCOVID-19の流行、そして2018年に起きた公立福生病院での人工透析中止事件をうけて、現代の生政治に関する議論が掲載された論文集。→2021/11/12
Go Extreme
3
〈反延命〉主義の現在: 〈反延命〉主義とは何か 〈反延命〉主義の現在と根源 公立福生病院事件の闇 安楽死・「無益な治療」論・臓器移植そして「家族に殺させる社会」 多としてのトリアージ 分ける社会がもたらす命の選別 〈反延命〉主義を問う: 医療者として意思決定支援を考える 小児科医の問いと希望 文学で描かれてきた「よい死」 死ぬ権利を問いなおす─ドイツの動向から2021/10/25
おかえ
2
ある悪い事態が起こっているとき、本当に起こっているのか、起こっているとして何故なのか、どうすれば回避できるのかを全てセットで考えなければいけない。2022/01/06
fumio_saurus
1
「延命」と聞いて悪いイメージがすぐに浮かぶのもある種の印象操作なのかもしれないね2023/08/27
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- 洋書
- Fluffy