内容説明
福祉職が社会構造による抑圧を黙認するとき、支援を必要とする人たちもまた、その抑圧構造に否応なくからめとられていく。わが身のしんどさと我慢がより弱い立場の人たちに向いてしまわないために、「変えられないもの」と思い込んでいる法や制度、社会規範に対し、批判的な目を向けよう。あらゆる福祉現場の「しょうがない」を乗り越え、多数派にとって都合の「いい子」を脱するためのソーシャルワーク入門書。
目次
第1部 AOPを知る(反抑圧的ソーシャルワーク(AOP)とは何か―概論と方向性
カナダでのソーシャルワーク教育の状況と課題)
第2部 AOPの可能性(「私」から始めるAOP―ケアを中心とした社会をつくるために;ささやき声の共鳴から生まれる私たちのAOP―「しょうがない」の向こう側)
第3部 AOPと日本の現状(日本のソーシャルワーカー教育とAOP―社会福祉専門職教育に今こそAOPが必要な理由;精神障害と抑圧・反抑圧;障害当事者運動にみるAOP―その可能性と課題;支援者エンパワメントとAOP)
明日から始める反抑圧的ソーシャルワークのタネ
著者等紹介
坂本いづみ[サカモトイズミ]
カナド、トロント大学ソーシャルワーク学部准教授。社会福祉士。博士。上智大学社会福祉学科卒業、同大学大学院修士号取得(社会福祉学専攻)。フルブライト奨学金を得て、ミシガン大学大学院ソーシャルワーク修士課程(MSW)と心理学修士課程修了後、ソーシャルワークと心理学の二重専攻で博士号取得。在学中に多国籍の留学生家族の支援のコミュニティ・プロジェクトを立ち上げた。トロント大学では、AOPの研究のほか、移民の雇用差別や、日系カナダ人のアートを使ったアクティビズムなど、コミュニティに根ざした参加型の研究を行っている
茨木尚子[イバラキナオコ]
福岡県生まれ。明治学院大学社会学部教授。早稲田大学教育学部卒業後、東京都特別区福祉職として障害者施設での勤務を経て、明治学院大学大学院社会学専攻博士前期課程修了。日本における障害者自立生活センター創設期から、障害当事者の活動にかかわりながら、当事者主体の社会福祉支援とは何かを、組織運営も含めて研究課題としている
竹端寛[タケバタヒロシ]
京都市生まれ。兵庫県立大学環境人間学部准教授。大阪大学人間科学部卒。同大学院修了。博士(人間科学)。山梨学院大学教授を経て、現職。脱施設化と権利擁護研究を土台に、ダイアローグを基盤とした地域福祉・多職種連携などの研究や研修にも携わる
二木泉[ニキイズミ]
大学卒業後、民間企業を経て、国際基督教大学博士前期課程修了(行政学修士)。介護福祉士として認知症専門デイサービス、訪問介護、専門学校講師などに従事。2014年に子どもと共にカナダに渡り、トロント大学大学院に留学(ソーシャルワーク修士)。現在はトロント郊外の高齢者入所施設にてアクティビティケアを実践しながら、トロント大学博士課程(社会学)に在籍。オンタリオ州認定ソーシャルワーカー
市川ヴィヴェカ[イチカワヴィヴェカ]
東京生まれ。社会福祉士・保育士。NPO団体理事・市役所福祉保健部の非正福祉職員として生活困窮世帯・生活保護世帯の子どもと家族支援に従事。2017年よりカナダ・トロント大学大学院社会福祉学部に留学。「社会正義と多様性」専攻。LGBTQ+難民支援、若年ホームレスの家族カウンセラーとしての経験を経て、2020年より同大学院社会福祉学部博士課程に在籍。浦和大学子ども学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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