内容説明
障害者運動は自らの内面をどう表現してきたか。花田春兆(俳人、85歳。障害者文芸同人誌『しののめ』主宰。国際障害者年日本推進協議会(現・日本障害者協議会)元副代表)・横田弘(詩人、77歳。健常者文明に対する鮮烈な批判を展開した「青い芝の会」の行動綱領を起草)を中心に、日本のCPの障害者運動における「綴る文化」を解明する。
目次
序章(障害の文化;綴り合う仲間たち;本書の構成)
第1部 「綴る文化」の戦後史(文学が紡ぐネットワーク;反抗する「人間」たち)
第2部 「いのち」の価値の語り方(「安楽死」を語るのは誰の言葉か;文芸同人誌『しののめ』に見る生命観の変遷)
第3部 横田弘の詩と思想(“母”なる障壁―横田弘の詩と思想(前編)
告発の詩学―横田弘の詩と思想(後編))
著者等紹介
荒井裕樹[アライユウキ]
1980年、東京都生まれ。2009年、東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員。専門は日本近現代文学・障害者文化論。ハンセン病・身体障害(脳性麻痺)・精神障害の当事者たちの文学活動や社会運動の研究、及び医療施設における自己表現活動の支援に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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JunTHR
4
素晴らしかった。 先に読んでいた、一般向け著作群(『障害者差別を問いなおす』『車いすの横に立つ人』『どうして、もっと怒らないの?』)そして『差別されてる自覚はあるか』などの原点を知れた気持ち。『隔離の文学』『生きていく絵』も読まねば。2020/12/11
たろーたん
1
「障害と文学」は、障害者を描いだ文学か障害者が書いた文学かで意味合いが異なる。前者は無力で無垢な障害者像が描かれ、後者では障害者の自己表現としての側面が重視される。文学や同人活動を通して「障害とは何か」「障害者である自分とは何者か」「障害者が生きることにいかなる意味があるのか」を考えるため文学は役に立つんだなと思った。面白かったのは親を殺す話で介護をしてくれる親のモラルとの葛藤を文学に落とそうとするものや性の話題が結構あったこと。性の秘密・プライバシーを持つことで主体化・自立できるともあり勉強になった。2022/01/14
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