出版社内容情報
1960年に発表された宮本常一『忘れられた日本人』。宮本研究の第一人者、岩田重則による斬新な解釈を展開。関連書籍を徹底的に参照しながら、事実とフィクションの間を自由自在に渡り歩く宮本独特の叙述スタイル〈ハナシ〉を解き
内容説明
『忘れられた日本人』をそのままの事実として受けとってはならない。事実とフィクションの間を自由自在に渡り歩く宮本独自のハナシ集として読むことでみえてくる人生の肯定性。
目次
序章 ハナシとして読む
第1章 『忘れられた日本人』の位置(『忘れられた日本人』の書誌;民話論と宮本常一のハナシ)
第2章 事実とフィクションのあいだ(ムラの共通認識;共同性の理想化)
第3章 漂泊民的世界の理想化(「土佐源氏」のハナシ;基準としての漂泊民的世界)
終章 わすれもの
著者等紹介
岩田重則[イワタシゲノリ]
1961年生まれ。中央大学総合政策学部教授。専門は民俗学/歴史学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
25
「取扱注意」の『忘れられた日本人』論。著者は、宮本常一に傾倒し丁寧な評伝も著した民俗学者。すでに宮本常一にハマってる人、あるいは、現実も真実も世の中が作る物語だし虚構は私たちが生きる現実の一つ、そう理解をしてる人ならきっと、読後、宮本の文章をもっと読みたいと思うだろう。取扱注意と思うのは、レイヤーお構いなしに真実は一つと思って正義を振り回してしまうような人なら、この本が含む愛情に気づかず、逆に鬼の首をとったように振る舞う気がするからだ。◇宮本が前提する一人ひとりの尊重。忘れてはいけないもの…信仰で、いい。2015/04/08
Sanchai
4
『忘れられた日本人』刊行から60年。あれを読んだ読者なら、情景描写や語りの詳細さに驚かれたと思うが、あれがフィールドノートなしで再構築されたハナシだと指摘されれば、確かにそうだよなと思う。『忘れられた日本人』のガイドブックとして読める本。2020/10/13
onepei
1
『忘れられた日本人』を宮本常一の「ハナシ」集として読む。当然ながら宮本常一だからこそ書けたわけで。2014/09/18