内容説明
異質な他者との共生を唱え、全体主義の苛烈な批判者であり、かつ、大衆社会を批判し、多様性を徹底的に擁護する。
目次
第1章 生涯
第2章 ハイデガーとの出会い
第3章 ヤスパースとの交流
第4章 時代状況
第5章 ユダヤ性への目覚め
第6章 『全体主義の起源』
第7章 『人間の条件』
第8章 『イェルサレムのアイヒマン』
第9章 失われた宝(アメリカ共和政への期待と失望)
第10章 21世紀へのメッセージ
著者等紹介
杉浦敏子[スギウラトシコ]
1948年生、早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程満期退学、専攻は西洋政治思想。経済社会学会、政治思想学会に所属
ふなびきかずこ[フナビキカズコ]
1951年、兵庫県生まれ。4コマまんが「きみのものはぼくのもの」「ももこ姫」を雑誌に連載。1991年、読売国際漫画大賞優秀賞受賞。2001~2002年「ももこさん」『東京新聞』他夕刊に連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
47
☆5。始めに言っておくと、これはハンナ・アーレントの入門書ではない。彼女の人生、功績をまとめたものだ。現代書館のフォー・ビギナーズシリーズはその名前に合わず、歯ごたえのある本が多いが、これもそうである。従って素読ではなく熟読が求められる。とはいえ、よくまとまっている。重要な主著「全体主義の起源」「人間の条件」「イェルサレムのアイヒマン」については濃縮された短い文章で説明されている。入門書ではないが、アーレント自身の本を読む前に読む本としては合格点だろう・・・と思う。これでアーレント自身の本を読めるかな?2020/03/29
紫羊
23
アーレントの入門書です。全ページにわたり、文章とイラストのレイアウトが変則的で、それはもう読みにくかったです。本は体裁も大切だと思い知らされました。とはいえ入門書として優れた内容です。なかでも「人間の条件」についての解説が強く印象に残りました。
4fdo4
10
「イェルサレムのアイヒマン」を読む前に ハンナ・アーレントの予備知識を得るために本著を選んだ。 FOR BEGINNERS 101 シリーズは何冊か読んだことがあるので 勝手は知っていたが、本著は完成度が高い。 大学の講義で概論を一年聞くのと同じぐらい得るものが有るのではないだろうか。 とは言っても、難解な部分も多く、政治哲学にさっぱりな私は 戸惑いながら読んだので時間は必要だった。 2015/04/11
Yuka
8
アレントを学ぶためにまとめ買いした入門書。フォービギナーズシリーズは教科書のようだけど、要点がまとまりつつイラストもあって助かった。 この本を最初に読んでいたら、教科書的でサラッと読み終えてしまっただろうけど、『アレント入門』で「イェルサレムのアイヒマン」を軸に理解した上で全体的なところをこの本で学んだのでより理解が深まった感。 とはいえ、全体主義の章に入ると自分の理解力が及ばず‥もうちょっと勉強しないとだなと思った😅2023/08/11
フム
5
全体主義の起源2を読む前に、理解の助けになればと読んだ。彼女の思想の現代における有意性について、21世紀最大の課題はグローバリゼーションとナショナリズムの問題。そこで彼女が徹底的にこだわったのが、複数性ということ。「世界のなかに相互にさまざまな仕方で結合している民族が多ければ多いほど世界はより多く豊かになっていく。一つの民族のなかで多くの立場があって、万人が等しく住むことができ、誰にでも等しく開かれている…」彼女が今駆け巡る世界の惨事を知ったら何と言うだろうか。まるで逆方向へ世界は進んでいるではないか。2015/11/18