内容説明
大自然の中に佇む、素朴で力強い造形の木造教会。ウクライナ全土に点在する教会を20年にわたって訪れ撮影してきた著者が、その歴史や構造、内部の装飾、地方ごとの違いまで魅力を余すところなく解説する。ウクライナの人々の心のよりどころである貴重な文化遺産を、日本ではじめて本格的に紹介。
目次
1章 木造教会の歴史
2章 木造教会の特徴
3章 地域ごとの教会
4章 カルパティア山中の諸民族の木造教会
5章 木造教会の未来
6章 木造教会と世界の宗教建築
著者等紹介
シェフツォバ,ガリーナ[シェフツォバ,ガリーナ] [Shevtsova,Galyna]
キーウ国立建設建築大学教授、博士(建築学)。専門は木造の宗教建築。日本とウクライナの木造建築比較、ウクライナ木造教会の研究・現地調査などのほか、ウクライナ木造教会保存のためのUNESCOプログラムにも参加している。1973年ウクライナ・キーウ生まれ。2014年より現職
上北恭史[ウエキタヤスフミ]
筑波大学芸術系教授。博士(デザイン学)。筑波大学大学院世界遺産学学位プログラムで遺産整備計画を専門として研究・教育に携わる。これまでインドネシアの木造集落の保存研究や東欧の木造教会堂の保存研究を実施し、保存体制や保存修復の方法、保存のためのモニタリングなどを進めている。日本建築学会会員、イコモス国際木の委員会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
154
世界遺産「カルパティア地方の木造教会群」を中心としたウクライナの木造教会、素朴で味わいがあります。ロシア軍の侵攻で木造教会が焼失しないか心配です。 理想論だと言われるかも知れませんが、世界平和には、世界連邦の創生か世界戦争禁止条約の批准が必要です。 https://www.xknowledge.co.jp/book/97847678340302025/04/21
neimu
43
共産圏を旅行したかつての想い出。内部が破壊されたソビエト時代の、宗教は麻薬扱いの教会は酷かった。博物館と称して形ばかりの生活雑貨が展示されたり、ほぼ見捨てられていたり、見学そのものが許されなかったり。ポーランドやユーゴスラビアはまだ宗教の神聖さを重視していたが、ソビエト圏内だったウクライナの木造建築協会がどれほど大切にされていたのか、全くわからない。そしてこの戦乱のさなか、ここに記録された建築物はどうなっているのかも。日本各地の観光地ではない荒れ果てた神社仏閣同様、生活に根ざしていたはずの教会に見入った。2025/06/08
たまきら
32
読み友さんの感想を読んで。独特な木造建築にうっとり見入ってしまいました。時系列で紹介されているので、建築史の教科書としても楽しめる内容です。もちろん現在の戦況の影響も気になりますが、個人的には宗教を弾圧していたソ連時代に破壊された建築物のことを思わずにはいられませんでした。日本(特に東北)の建築物との比較部分は興味深かったです。北海道など北日本とロシア・ウクライナの歴史は、もっと注目されてもいい研究だと思います。2025/06/19
れい
12
【図書館】こういう建築物が現存していることは、もちろん人類の宝だろうし保全活動がなされなければならないと思う。中央アジアに似たような建築様式も混ざっており、西欧の教会とはまた異なるイメージ。日本の仏閣はアースカラーで荘厳なイメージがあるけれど、ウクライナの教会は木造でありながらも、ペイントや金での装飾品が多く、可愛らしく、綺羅びやかな感じを受ける。今後も守られてほしい。2025/07/24
まりちゃん
4
教会といえばイタリアやフランスの石でできた巨大な建物しか頭になかった私にとって、木造の教会は目からうろこ。日本の民家のような作りや、建てかえ移築した歴史にも親しみがわく。写真をながめて楽しめる本だ。タイトルにあるように、ぜひとも未来に残したい。2025/07/19