出版社内容情報
映画やゲームで誰もが目にしたことがある「ゾンビ」。その起源はタヒチやアンチル諸島といった旧植民地に伝わる土着信仰にある。本書は、「ゾンビ」という呼称の語源や、その意味の変還、1930年代のごく初期のゾンビ映画やパルプ誌でのゾンビ表現など、ゾンビに関するうんちくが満載!しかし、単なるトリビア本ではない!文化史として、ゾンビを人類学・民俗学的に考察し、西欧帝国主義や現代資本主義の人脈で捉えなおした、文字通り、ゾンビの最強ガイド!!
目次
第1章 Zombiから「ゾンビ(Zombie)」へ:ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)とウィリアム・シーブルック
第2章 ハイチの幻霊:西洋におけるゾンビの原点
第3章 パルプ小説版ゾンビの出現
第4章 第一次ゾンビ映画ブーム:『恐怖城』から『ブロードウェイのゾンビ』まで
第5章 フェリシア・フェリックス=メントール:「本物の」ゾンビ
第6章 1945年以降:ゾンビの軍団化
第7章 ゾンビ黙示録:ロメロの再始動とイタリア製ホラー
第8章 そして世界へ
著者等紹介
ラックハースト,ロジャー[ラックハースト,ロジャー] [Luckhurst,Roger]
ロンドン大学バークベック・カレッジの現代文学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルル
21
ゾンビの原点から今に至るまで。ゾンビはある意味、時代を映す鏡のような物かもしれない。その時代の歴史背景に組み込まれ、エンターテインメント化され、暗く重い時代を恐怖で満たす。「ゾンビとは我々である」と書かれているように、人間を皮肉る部分は多く、ただの娯楽だと笑い飛ばせない作品もある。「ゾンビはこの世界の状態そのものを表す存在」という言葉に頷かずにはいられなかった。2017/04/25
スプリント
7
映画やアニメ、ゲームでゾンビが出てくる作品は無数にありますがそれらを紹介した本です。エイリアンよりも身近に感じさせ、恐怖をあおれる存在。そして生身の人間と違って大量に虐殺しても倫理的に咎められにくい存在としてゾンビは重宝されているようです。2017/04/30
Myrmidon
2
「ゾンビ」という文化現象に関する、かなりしっかりした文化史。表紙と日本語タイトルのノリで手に取ると痛い目を見るかも。ロメロにたどり着くのが全8章中の7章目(!)という一事で、その本気具合がわかるのでは。また、本書のまとめにある通り、ゾンビについて「それぞれに個別の注目と認識が必要となる込み入った社会的現実観を凝縮する機能」を持つものとして見るため、いわゆる一つの概念や歴史観でゾンビを俯瞰する視点でないゆえに、スッキリした見易さはない。しかし、ゾンビ・ファンは必読モノの内容であった。2017/11/26
in medio tutissimus ibis.
2
軽い気持ちで手に取ったら滅茶苦茶真面目なゾンビ文化研究。ロメロ以後の映画ゾンビもカリブ海のヴドゥのゾンビも知っていたけれど、その間にはパルプフィクションのゾンビやロメロ以前の映画ゾンビが存在していて、それぞれアメリカ文化の鏡像であり続けてたと知るとこれからゾンビを見る目が変わりそう。ゾンビが表象するものが植民地や未開や黒人から、ナチスドイツや共産主義陣営になり、やがて資本主義社会の大衆へと変遷していく流れはスリリングであり、また次に何を表彰していくかと思わせる。ちらっと言及されたミイラ男の本も読んでみたい2017/09/14
ちり
1
大元であるカリブ海周辺の民間信仰が本来どういうものかという所をボリュームを割いてきっちり抑え、それをベースにゾンビというものがポップカルチャーの場での変遷を追う。原題は「Zombies: A Cultural History」。ポップな表紙とタイトルに反して、あれこれ真面目な本では?と読み出して意外に思ったら、著者は大学の文学教授だった。2017/07/03
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