内容説明
紀元前十三世紀の半ば、当時ケーメもしくはケメトと呼ばれた古代エジプト、新王国第十八王朝の王、アメン・ヘテプ四世は、これまでのアモン神信仰を退け、太陽の下すべての民は平等だとするアトン神を国家神とし、自らの名を「アク・エン・アトン」(アトンは喜ぶ)と改め、ナイルを下った地に新都アケト・アトンを建設した。しかし、純粋に理想を追う王の改革はケーメの内部に密かな亀裂を生んでいた。王の理想の儚さを感じつつもその純粋さにひかれる若者ホレンヘブ。そして、アク・エン・アトンの遺志を継ぎ、幼くして王となるトウト・アンク。理想と現実の狭間に苦しみながら、数奇な運命を生きぬく二人の若者―。著者渾身の歴史ファンタジー。