内容説明
“線形計画法”は、線形代数(連立1次方程式の理論)と並んで数学の最も基本的な部分(連立1次不等式の理論)を占めるとともに、与えられた制約のもとでの最適解(最もよい解)を求める数理計画法の中でも中心的な役割をもち、工学や経営をはじめ広範な分野においてきわめて重要な考え方・方法を与える。しかも、最近の計算機の著しい発展に伴って、この方法によって取り扱うことのできる問題は非常に大規模になり、実際的な問題を解くのにますます有効になってきている。本書は、「基礎理論」の前半第1‐5章で基本的事項をわかりやすい例を用いて明快に記述し、それらの各章と平行して、その後半の第6‐10章で、数学的により厳密な取り扱いおよび技術的側面を詳しく議論する形式を打ち出すなど、予備知識のない初学者でもその理論的な枠組を困難なく理解できるように書かれている。また、幾何的な直観に訴える記述のあいまいさをのぞき、主要な代数的側面を明確にした後に幾何的な扱いにはいるなど、類書では見られないユニークな試みがなされている。
目次
1 基礎理論(序説;シンプレックス法の働き;おとし穴とその対策;線形計画法はどれほど速いか?双対定理;Gaussの消去法と行列;改訂シンプレックス法;一般的LP問題とシンプレックス法による解;一般的LP問題:双対性と不可能性に関する定理;感度分析)