出版社内容情報
・女性解放論者・女性史研究の嚆矢として著名な高群逸枝(1894~1964)の思想を解き明かす。
・誰も置き去りにしない社会を目指し闘った高群の生涯を賭けた仕事を辿る。
女性解放論者、婦人運動の旗手、日本における女性史研究の嚆矢として著名な高群逸枝(1894~1964)の思想を、最初期の評論「民衆哲学」「女詩人汝に語らん」に出現する「共存の愛」を軸に読み解いていく。本書は、誰も置き去りにしない社会を目指した高群の生涯をかけた、そして一貫した仕事を明らかにする。
【目次】
序論
「自己」という問い
高群逸枝を今日から考える
高群逸枝への関心
高群逸枝に対する批判とその継承
本論の構成
第一章 民衆哲学と愛される愛
一 高群の「民衆哲学」
1 「共存の愛」の提起
2 共存状態の自覚
二 永遠の生命と瞬間の生命
1 「永遠」への抵抗と「瞬間の生命」
2 「理知」の三段階から「情意」の時代へ
3 「情意時代」の二段階
三 「美」を見出す「母性」と「恋愛」
1 「愛される愛」と「母性」
2 「美」を求め「一体」を目指す「恋愛」
第二章 性の自治を実現する社会
一 「婦人」固有の問題
1 「食ふための生産」が支える「性の自由」
2 「普選」成立と婦人運動論
3 差別される「美」の問題――高群の山川菊栄批判
4 家庭をケトバス
二 「自治」の理想
1 「性自治」と「無政府恋愛」
2 「私事」中心の「自治」社会という理想
3 「独自」の運動の「共同」
4 「自治」から「神道」へ
第三章 母なる神々、父なる天皇
一 隠された系譜
1 階級闘争・解放運動としての日本母系制研究
2 検閲との闘い
3 「血の帰一」の意義
二 闘争の上に立つ共存
1 「組織としての氏」と「呼称としての氏」
2 母系的氏族と父系的氏族
3 二つの民族主義と母としての「神」
4 「神」に対峙する「天皇」
5 十五年戦争期の高群の思想
第四章 ともに生きる愛の社会へ
一 不在の天皇
1 占領政策との対峙
2 新たな女性史学の展望
3 『母系制の研究』の復刊
二 時空を超えるアナーキーな理想
1 古代族制に投影されたアナーキズム
2 「ともに生きる愛」へ
結論
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- 洋書
- Leaving Eden