出版社内容情報
森羅万象すなわち曼陀羅
熊楠はなぜ、神社合祀に抗ったのか――。
粘菌の採集から、大日如来が関係する宇宙まで、
熊楠の知と信が融合する、壮大な思想的軌跡。
明治後期、国家神道を基盤に進められた神社合祀政策。
その時、熊楠はなぜ社叢と祭祀の喪失に激しく抗したのか――。
熊楠の神社合祀反対運動は、たんなる自然保護活動ではなかった。
その抵抗の背後にあったのは、森羅万象を曼陀羅と捉える熊楠独自の世界観だった。
神社合祀反対運動の全容をあきらかにし、
西洋科学と真言密教、神智学を融合させた熊楠の思想の核心に迫る。
【目次】
はじめに
序 章 南方熊楠の生涯――神社合祀反対運動とは何だったのか
第1章 明治後期の神社政策――なぜ神社合祀が推進されたのか
第2章 糸田の猿神社とり潰し事件――反対運動の動機は何だったのか
第3章 磯間の猿神社と神楽神社の合祀計画――いまだ見ぬ埋蔵品、古代人の証し
第4章 西ノ谷村における神社合祀への抗議――神社のある風景、神社からの眺望
第5章 神島の保護運動――「自然保護園」としての神島
第6章 寺田寅彦と南方熊楠――科学と神秘思想
第7章 ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーと南方熊楠の宇宙図
第8章 クモの巣をヒントに描かれた条理図
第9章 森林生態系の保全を訴える熊楠の思想
結 論 熊楠は自然をいかに捉えたか――「一者」から「分節」された世界
註
あとがき
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