出版社内容情報
▼「帝国の遺産」はどのように継承されたのか?
「中華」という伝統的アイデンティティ、そして秩序の安定維持のための「自治的状況」の容認。
二つの「帝国の遺産」が近代的再編において新疆統治にもたらした影響を探る。
内容説明
近代以降の中国の多民族統合のありかたを、新疆地域に焦点を当てながら明らかにする。「中華」という伝統的アイデンティティ、そして秩序安定のためのソ連型「自治的」民族政策の導入。現在の周辺地域統治の背後にある「偉大な中華民族」イデオロギーを理解する一助となる一冊。
目次
はじめに 帝国継承国家としての「中国」
第1章 伝統的統治の動揺と崩壊―楊増新の統治とその限界
第2章 盛世才政権におけるソ連型民族政策の導入と「民族自治」
第3章 盛世才による粛清と民族政策の破綻
第4章 国民党政権の新疆統治の論理―一九四〇年代
第5章 国民党政権の新疆統治政策
第6章 共産党政権の新疆統治における民族と階級―一九五〇年代
おわりに 民族自決的統合と国民的統合とがせめぎ合う帝国継承国家・中国
著者等紹介
木下恵二[キノシタケイジ]
常磐大学総合政策学部准教授。1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程単位取得退学、博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
清帝国の版図を引き継いだ帝国継承国家中国で、多民族統合がいかに再編されていったのかを二十世紀前半の新疆の統治政策に焦点を当て考察する。中核による周縁統合の近代的モデルとして、国民的統合モデル、民族自決的統合モデル、植民地主義的統合モデルの三つを分析枠組みとして設定。東西ナショナリズムの波や社会主義イデオロギー、漢族による「代行主義」、「自然な同化・融合」などの議論を経て、植民地主義的統合へと収斂されていく経過を示す。◆欲を言えば宗教政策について、統治主体の変化による違いなども踏み込んでほしかった。2023/09/19
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- 和書
- IBMさん、ありがとう