出版社内容情報
▼利己的であるのは悪いこと?
▼人間の本性をめぐるイギリス思想史のドラマを描く。
人間は生まれつき利己的であるのか、それとも、利他的で社会的であるのか――。人間の本性をめぐってイギリスで一七世紀から一九世紀にかけて繰り広げられた、トマス・ホッブズからハーバート・スペンサーまで主要な14人のモラリストたちの論争を描く。
第2期スタート
慶應義塾大学三田哲学会叢書
三田哲学会は創立100年を機に、専門的な研究成果を「生きられる知」として伝え、 公共の中に行き渡らせる媒体として本叢書の発刊を企図した。
シリーズ名は、ars incognita アルス インコグニタ。
ラテン語で「未知の技法」を意味する。
単なる知識の獲得ではなく、新たな「生きる技法としての知」を作り出すという精神を表現している。
内容説明
利己的なのは悪いこと?イギリス思想史のドラマを描き出す。
目次
ホッブズ
シャフツベリ
マンデヴィル
ハチスン
バトラー
ヒューム
ハートリー
スミス
リード
ベンサム
ミル
シジウィック
ブラッドリー
スペンサー
著者等紹介
柘植尚則[ツゲヒサノリ]
1964年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科教授。博士(文学)。専門は倫理学・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
12
真に知性的な人間による利己的な行為は利己的だとは周囲に悟られずに、何なら利他的な行為だと思われるのではないかとぼんやり考えていた今日この頃。西洋の思想史、哲学史を下敷きとしたその手の論争を紐解く一冊。自分自身が何かを為すときにはそれは必ず自己の利益のため、自分が欲することを選択しているのだけれど(それが極端に少ない選択肢の中からの選択だったとしてもね)そうだとしたらありとあらゆる利他的な行為って結果的にそうなったというだけのことなのではないか。完全に利他的な「だけ」の行為ってこの世界でありえるのだろうか。2022/12/01
zunzun
6
18~19世紀までのイギリスの哲学者、経済学者によって繰り広げられた「人間本性論」をまとめたものである。題名の通り「利己的かそうでないのか?」の応酬が行われていたわけだが、どの学者も「利己的であることは否定しない」のであり、「どこまで、あるいはなぜ利他的か?」が論争の的になっている。今現在、この問題は行動生物学者の格好のネタになっている。書店へいけば「人間は利他的である」といった内容の書物にいくらでもあえるだろう。「利己的、利他的について語りたくなったとき、参照本としてこの本は役に立つだろう。2024/06/23
Go Extreme
1
ホッブズ: 自分の善→他人の善を欲する シャフツベリ: 自己情愛 マンデヴィル: 人間は利己的&社会的になる ハチスン: 徳の知覚≠利益の知覚 バトラー: 自己愛は欲求・情念・情愛に優越 ヒューム: 人間は利己的でも利他的でもある ハートリー: 快楽や苦痛は連合する スミス: 共感を求めて自己愛を抑える リード: 利害の感覚と義務の感覚 ベンサム: 快楽と苦痛に支配される ミル: 生まれつき利己的ではない シジウィック: 自己愛と仁愛 ブラッドリー: 自己実現 スペンサー: 利己性は利他性に先行2022/05/28
ツッチャン
0
人間の本性は利己的なのか。人間が生物であり、種の保存の原則から考えると、個々の生存が優先される。それは基本的に利己的であることだ。ただし、人間は利己的であり続けると、生存戦略として、反対に不利になる。それは、集団で生存していて、集団の利益が個人の利益より優先されるからだ。このジレンマにどう答えをだすのか。17世紀以降のイギリス・モラリストのそれぞれの主張は、現代のわれわれに指標をあたえてくれる。2025/06/22
さっぴ
0
利己的と利他的どちらかを意識しすぎるともう片方が疎かになる。どちらも場面、場面で妥協点を自分の中で見つけていくことが大切。2022/07/05
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