出版社内容情報
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著・文・その他
内容説明
事件はなぜ起きたのか。「死にたい」とつぶやいた者たちは、本当に死を望んでいたのか。なぜ、家族ではなく、その外部に救いを求めたのか。SNSに溢れかえる「死にたい」の声に、私たちはどう向き合うべきか。『失踪の社会学』で颯爽とデビューした俊英による快著。
目次
序論 ある二人の対話から
第1章 座間九人殺害事件を考える
第2章 Twitterの「死にたい」を考える
第3章 「死にたい」をシェアする暮らしを考える
終章 親密圏のなかで「死にたい」を(リテラル)に捉える
著者等紹介
中森弘樹[ナカモリヒロキ]
立教大学文学部/21世紀社会デザイン研究科准教授。1985年生まれ。2015年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。『失踪の社会学―親密性と責任をめぐる試論』(慶應義塾大学出版会、2017年)により、日本社会学会第17回奨励賞(著書の部)、および、日本社会病理学会学術奨励賞(出版奨励賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
耳クソ
21
座間9人殺害事件の犯人である白石隆浩の法廷での「会ってみると本当に死にたいと思っている人はいなかった」という、白石自身にとって不利にさえなる供述を、白石の他人を「裏切る」ことによる主体性の確保という特徴から分析し、Twitterにおける「死にたい」というつぶやきが、それを言ってもそこにいていいとされるような場所を求める、より多義的な「ただの言葉」であることを導き出すという考察は、現代においてそのような場所の実現可能性を探る上で非常に面白かったが、後半は具体的に何を言いたいのかほとんどわからなかった。2023/03/04
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
10
2022年12月刊。著者は人間・環境学博士。ノンフィクションではなく社会学的な考察。 よりにもよってわが市で起きてしまった惨劇。その事件の概要、その前に本書での倫理的態度の断り書き。しかしこの制約が本書の物足りなさにつながっている気がしてしまった。 白石についての考察。Twitterで死にたい人を誘い込み、徹底的に話を聞く、そして最後に裏切って殺す。しかし本人は死体を切断してクーラーボックスに入れながら生活し、逮捕後の証言も軽薄と言う、重大性を感じさせない。また犯行の動機は金銭と、二人目以降は性欲も。→2023/10/18
なべさん
8
座間の事件を取り上げて、Twitterで死にたいとつぶやく人を社会学の視点でみる。家族、シェアハウスなど色々な観点から分析している。最後の方は少し難しかった。死にたいという人をどのように接すれば良いのかを考えるきっかけになった。何より、死にたいと考えがよぎることがあるので、そういう思考どう付き合うかを考えるために借りたけど、なかなか自分で上手く整理ができなかったり。2023/03/25
ざっく
7
読書メーターの記録では、200冊以上本を読んでいるので、本を読んでもどこかで聞いたことのある話が多い中、久しぶりに自分の知らない世界を知れたような気がする。普通に生きていると、当たり前に「生きたい」を前提とするコミュニケーションの中に生きることになるが、「生きたい」が前提でないコミュニケーションがあっても良い、という考え方はなかなか思いつかない。エヴァの中で「生きたくもないし、死にたくもない」というセリフを思い出す。実際に身近な人が「死にたい」と呟いた時、自分はどのような反応をしてしまうのだろうか。2023/02/15
てくてく
6
座間9人殺害事件に関連して、「死にたい」とつぶやくこと、そこから生じる人間関係などをコミュニケーションから分析した親密圏論。読み応えがあって良かった。2023/03/03