出版社内容情報
▼隠されたメッセージを暴け!
▼人を操る言葉と倫理を気鋭の言語哲学者がユーモラスに解明する。
▼國分功一郎氏推薦――「ジェニファー・ソールは言葉の政治的効果に名を与えるための新しい理論的道具を我々にもたらしてくれた」
嘘をつくことと、ミスリードして意図的に誤解させることには、倫理的にどんな違いがあるのだろうか。
日常会話から政治における?や欺瞞、人種差別の発話まで、多くの事例を読み解き、言葉による印象・感情操作のメカニズムを明らかにする。
海外メディアで話題となった「犬笛」戦術を分析した論文も収録。政治家や差別主義者が、“暗示的に” バイアスや偏見をあおる巧妙な仕組みを詳らかにする。
國分功一郎氏推薦文
――無数の仮定を立てて言葉を論じる言語理論でも、社会情勢を直接に批判するラディカルな政治哲学でもない。統計やジャーナリズムでもなければ、社会的無意識を扱う応用精神分析でもない。ジェニファー・ソールは言葉を唯物論的な次元で捉えつつ、その政治的効果に名を与えるための新しい理論的道具を我々にもたらしてくれた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわ
6
しっかり学術書で、想定よりもハードな本だった。 "犬笛"は初耳だったが、サブリミナル効果に近い現象なのかな?2022/07/28
hryk
2
第1章から3章までは嘘とミスリードの区別に関するテクニカルな言語哲学が続き、難しいが、4章の嘘とミスリードの動特性に関する議論は面白く、著者の主張も説得力がある。附録論文の犬笛も興味深い。日本における該当事例を探したくなる。難しい本だが具体例も豊富で注がユーモラス。2021/10/20
ぽん
1
ミスリードと嘘、前者の方が道徳的に罪が軽いと考えがちだが、そんなことはないのだという主張がいちばん胸に来たかな/言語哲学の分析の精緻さにちょっとついていけない。クリントンの発言など頻繁に繰り返されるが、もっと豊富な事例を通じて書くことはできなかったんだろうか。/「訳者解題」くらいがちょうどよく感じてしまう2024/01/01
コバ
0
嘘はミスリードより道徳的に悪いとはいえない。 しかしどうも直接的に嘘をつくのは避けてしまう…2024/05/05
yo_c1973111
0
原題(直訳)は[嘘、ミスリード、言われていること]。邦題と若干ニュアンスが異なる。言語哲学(者)という範囲を初めて知った。著者は嘘/ミスリードの差異により道徳的差異を求めるものではないとするが、道徳を問うていると思う。中々困難だ。アメリカ政治・文化(人種差別)を例として扱うこともあると思うが、この議論が普段の我々への有効性として感じられないことが疲れを感じさせることにもありそう。人名索引に参照学者の一部がなく、クリントンは網羅されているのは出版側のミスだろう(道徳的には問わない)。2023/02/22