出版社内容情報
▼自由の擁護、専制への対抗
古代ローマ史解釈をめぐるマキァヴェッリとの内的対話から、
市民とは誰か、自由とは何か、変わりゆく時代のなかで、
ありうべき共和政とはいかなるものかを問い続けた
共和主義者モンテスキューの思想の核心に迫る。
旧体制下のフランスに生きた『法の精神』の著者モンテスキューは、今日的な意味での君主政支持者に対立する共和主義者ではない。しかし、古代ローマ人が考えたように「僭主への対抗」という意味で、法の支配を肯定する「共和主義者」では間違いなくある。では、そもそも「共和政」の理念とは何か。本書全体を通じて問うのは、そのことである。
モンテスキューが、法の支配を政治社会に必要不可欠と考える根本的な理由の一つは、私たちが自由を求めるからである。さらに、なぜ自由を求めるのかと言えば、それは私たちが、個別の意思や感情・情念をもつからである。しかし、その個別の意思や感情、あるいは利害が対立すれば、争いの原因にもなる。だからこそ、他者と共有できる意思を探し、それを約束事として調和を追求する結果として「共通の・モノ」が発見される。それが慣習や法・政治制度として結実し、法の支配の基盤になっていく。『法の精神』が問うのも、多様な国家と社会において、この法の支配が実現する条件なのである。
本書では、軍事的偉業を実現した古代ローマを共和国の模範と見なしたマキァヴェッリとの内的対話を通じ、軍事、政治、経済が織りなす動態力学を考慮したうえで、むしろ国内での法の支配と国家間での平和な秩序が不可分なものとして実現しうる条件を模索したモンテスキューの共和主義思想の核心に迫る。
内容説明
本書では、軍事的偉業を実現した古代ローマを共和国の模範と見なしたマキァヴェッリとの内的対話を通じ、軍事、政治、経済が織りなす動態力学を考慮したうえで、むしろ国内での法の支配と国家間での平和な秩序が不可分なものとして実現しうる条件を模索したモンテスキューの共和主義思想の核心に迫る。
目次
第1章 市民の「自由」とは何か―『法の精神』における商業発展と法律の生成
第2章 共和国とは何か―モンテスキューとマキァヴェッリにおける「法の支配」の相違
第3章 なぜ歴史を解釈するのか―『ディスコルシ』と『法の精神』における「徳」論と制度・機構論の関係
第4章 市民権とは何か―共和政ローマの衰退と富の不平等の拡大に関する分析の相違
第5章 なぜ軍事力によって法律は沈黙させられるのか―共和政ローマの崩壊と軍人政治の出現に関する『法の精神』の政治経済学
第6章 古代と近代の連続性はどこにあるのか―モンテスキューとマキァヴェッリの交錯地点
第7章 軍事力と法律はどちらが優位すべきか―マキァヴェッリの「新たな君主政」とモンテスキューのフランス世襲君主政
第8章 共和政の歴史とは何か―ハリントンの古代社会とモンテスキューの封建法の遺産
著者等紹介
定森亮[サダモリリョウ]
1977年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、2003年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、同大学大学院経済学研究科博士課程入学。2003年から2006年まで慶應義塾大学経済学部研究助手。2006年パリ第一大学大学院哲学研究科修士課程入学(フランス政府給費留学、パリ高等師範学校所属)。2007年から2010年までパリ第一大学特別研究員(allocataire de recherche)。2008年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得満期退学。2016年パリ第一大学大学院哲学研究科博士課程修了。博士(パリ第一大学、哲学)。現在、慶應義塾大学、神奈川大学、専修大学等非常勤講師。第3回研究奨励賞『経済学史研究』論文賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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馬咲
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