内容説明
「反乱の義務」の論理。リベラル・デモクラシーは勝利したのか?「国家」と「市民」の政治思想をラディカルに問い続けたハロルド・ラスキを始めとする思想家たちの探究を綿密に検証する。
目次
序章 「歴史の終わり」?―市民に投与された催眠術
第1章 忠実な臣民と知的愛国者―T.H.グリーンの「抵抗の義務」論
第2章 自己統治のパラドックスを超えて―バーナード・ボザンケの「実在意志」論
第3章 調和へと進歩する歴史―L.T.ホブハウスの形而上学的国家論批判
第4章 思慮なき服従と反乱の義務―ハロルド・ラスキの多元的国家論
第5章 階級なき社会を目指して―ハロルド・ラスキの唯物史観批判
第6章 自発性を計画する―ハロルド・ラスキの「計画民主主義」論
終章 シティズンシップの終わるとき
著者等紹介
梅澤佑介[ウメザワユウスケ]
1987年、神奈川県に生まれる。2018年、慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程修了。法学博士。現在、慶應義塾大学法学部・二松学舎大学国際政治経済学部・専修大学法学部・共立女子大学国際学部非常勤講師。専門分野は西洋政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
4
グリーン、ホブハウス、特にラスキに注目した思想史研究。「クエンティン・スキナーは「国家」という語に着目して、イギリス政治思想史における国家概念の変遷の歴史を描いた、彼は国家概念を、国家を人格として捉えるホッブズ由来の「擬制理論」と、国家を単なる統治機構として捉えたベンサムに端を発する「常識的アプローチ」とに分類し、両者のせめぎ合いとしての国家概念史を提示した。この分類によると、グリーンやボザンケなどのイギリス観念論は擬制理論に、ホブハウスやラスキの政治思想は常識的アプローチに属するという。」2023/06/25