出版社内容情報
内田百閒生誕130年記念
未発表日記を初公刊
昭和十一年一月一日から
『東京燒盡』につながる昭和十九年十月末日まで
「極めて特異な作家」百閒47歳から55歳の日常の記録。
内田百閒の生誕130年を記念して、未発表日記(昭和十一年から昭和十六年)を含め、昭和十一年から『東京燒盡』へと続く昭和十九年十月末までの日記を公刊する(但し昭和十七年は参考資料)。
百閒は早い時期から作品として「日記」を意識して発表している。大正六年から大正十一年の日記を『百鬼園日記帖』『續百鬼園日記帖』として昭和十年、昭和十一年に公刊しているのである。さらに『東京燒盡』では、空襲の激しくなった昭和十九年から昭和二十年八月の終戦までを昭和三十年に刊行している。
夏目漱石の弟子であり、ほぼ同世代のカフカに通ずると評される夢幻的作品『冥途』で作家としての活動を始めた百閒は、昭和八年の『百鬼園隨筆』がベストセラーとなって注目される。本書は、百閒47歳から55歳までの「極めて特異な作家」の戦前・戦中の日常の貴重な記録である。
内容説明
本書は、百〓四十七歳から五十五歳までの「極めて特異な作家」の戰前・戰中の日常の貴重な記録である。
目次
昭和十五年七月‐十二月
昭和16年一月‐十二月
昭和十七年(缺)
昭和十八年一月‐十二月
昭和十九年一月‐十月
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AMU
10
後編になると戦況もより厳しく、入隊への見送りや警報やらの記述も増えてくる。そんな中大好きなお酒が入手できないのが何より辛そうな先生。 取っつきにくそうな風貌なのに人の世話焼きに労を惜しまない。だから借金ばかりでもまわりにあんなに愛されていたのだな。 エッセイ的面白さには欠けるが、確かにあの時代に先生生きていたんだなとじんわりくる記録。2019/09/17
bapaksejahtera
7
巻末に登場人物と事項の索引がある。上巻分を兼ねておりこれを参照したが到底親切とは言えない。解題を読んでみるとこの上下日記分は時代の影響もあって余り整理されたものではない。昭和17年分などそっくり欠けている。戦争が始まっても恬淡とした記述が続くが流石にこの巻では物資、殊にビールの不足が頻と述べられる。上巻に比べて体重は3貫以上減っている。相変わらず血圧高く不整脈が続く。郵船からの賞与も流石に欠け勝ちとなり再び借金に回る。居候を抱えるが、高利貸の借金は整理し終わる。今更であるがこの人の作品を読み返したくなる。2021/08/24